■第五回東京湾イベント・シンポジウム「海をきれいに:東京湾と下水道」 議事録
1998年9月26日(土) ヨコスカ・ベイサイド・ポケット


目次
  1. はじめに
  2. 第一部スライド上映 解説:一柳 洋
  3. プレ講演:風呂田利夫
  4. プレ講演:安田八十五
  5. 第二部パネルディスカッション
  6. 事前に寄せられた質問・意見
  7. シンポジウム当日の質問票
  8. シンポジウム参加者の感想
  9. 用語解説


はじめに

司会 本日はお忙しいところご来場いただき誠にありがとうございます。これより、東京湾海洋研究会主催、第五回東京湾イベント・シンポジウムを開催いたします。本日の司会を務めさせていただきます江口と申します。よろしくお願いいたします。
 まず始めに、主催者であります東京湾海洋研究会会長、塩井豊より開会のご挨拶をさせていただきます。プロフィール等はプログラムに載っておるのですけれども、簡単に紹介させていただきます。1951年横浜に生まれ、1970年横浜市役所に就職し、1987年から1995年まで横浜市下水道局に勤務。1981年から環境保全活動団体「海をつくる会」事務局長として16年間従事しております。その後、1996年横浜市役所を退職。翌年、民陶小鹿田焼販売店「豊旬」を開店。1998年東京湾料理店を「豊旬」に併設。現在は東京湾料理研究家としても活躍しております。

塩井 ただいまご紹介いただきました塩井です。本日は朝の内は天気がよろしかったのですが、どうやら降り出しそうなお天気になってしまいました。そういう中にもかかわらず、皆様お集まりいただきありがとうございます。
 東京湾海洋研究会では過去四回、過去四年にわたって東京湾に関わるシンポジウムを開催させていただきまして、本年は五回目、五年目を迎えるにあたって、色々と東京湾海洋研究会のメンバーの中で論議をしたんですけれど、東京湾というのは海、水だと。水に関わる問題を一度は取り上げておこうと。特に東京湾というのは都市部に囲まれています。その都市部に生活する我々にとってですね、下水道という施設は欠かせないものとなってきています。そこから東京湾に注がれる水というのは一日に700万トン近くなろうかと思います。毎日毎日、下水処理場から出てくる水が東京湾に注がれます。我々、下水道と聞きますと、下水処理場を通過した水はとてもきれいな水じゃないかと思いがちですが、見た目にきれいであってもその水の成分は多種多様かと思います。その水が東京湾に与える影響がどうあるのか。特に、皆様方のお目にもとどまると思うのですが、赤潮だとかそれから青潮だとか、生物に多大な影響を与える現象が日々起きております。こういうような現状をですね、私共、少しでも海とお付き合いしている人間としてはこのまま見過ごすわけには行かない。何か良い解決策はないか。これは私共だけじゃなくて皆様も日頃考えておられると思います。今回は海洋生物学者の方、それから社会工学をご研究している方、それに現職の下水道事業に関わっている公務員と、多方面からのパネリストをお呼びしております。何か良い、私達人間にとっても、海の生きものにとっても快適な海環境というか、そういう海空間が今以上のものになるのかどうか、その辺の解決策の糸口がひとつでも見つかれば幸いかと思います。
 本日、開催にあたっては東京ガス株式会社、株式会社つり情報社、その他色々な企業、個人又は行政の方々から暖かいご支援をいただいております。実りあるシンポジウムにいたしたいと思いますので、皆様最後までお付き合いいただきたいと思います。どうもありがとうございました。

司会 横須賀市は「国際海の手文化都市」を都市のキャッチフレーズとしております。海の手文化の向上のためにも今日のシンポジウムが横須賀で開かれる意義があると思いますが、そんな中で横須賀市の三役のおひとりであらせられます、収入役の市川様が市を代表して挨拶においでいただいております。
 それでは市川様ご挨拶よろしくお願いいたします。

市川 紹介いただきました収入役をしております市川でございます。本来ならば助役が参りまして、本日のご挨拶申し上げるところであったわけでございますが、急用が出来まして今日は代理をさせていただきたいと思います。
 本日は大勢の、このような大勢の皆さんのご出席の中で第五回の東京湾イベントのシンポジウムが開催されますことに対しまして、心からお慶びを申し上げたいと存じます。また同時に、この会を主催されました東京湾海洋研究会の皆様に対しましては深く敬意を表したいと存じます。
 環境問題につきましては私がここでとやかく申しますより、皆さんが充分ご存じだと思いますけれども、今日におきましては地球規模の問題であり、世界中の人々が常に努力し、環境改善に努力しなければならないことはここで申し上げるまでもないことで、横須賀市におきましても一昨年、平成8年になりますけれども、環境基本条例を策定いたしました。そして、本年7月にはその環境条例の根本的な問題の方向性を示します基本計画を策定のための答申を市民参加によります市議会から得ております。今後は、この市議会の答申を尊重しながら色々な芯づくりを進めていきたい。このように考えているところであります。また同時に、市民の多くの皆さんに、あるいは事業者の皆さんに色々と環境問題についてご協力いただく訳でございますけれども、市役所自体が率先して環境に配慮した施設を維持管理しなければならないわけでございます。そういう中で、後程下水道部長からご披露あると思いますけれども、下水道施設については平成10年度中に、市役所全体の施設につきましては平成11年度中に国際規格でございます、ISOの14001を認定を受けたいと、このようなことで今後努力していきたいと考えているところでございます。尚、その関連いたします予算案につきましては昨日閉会されました市議会での決議を得まして、今後その経費を有効に使いながら、認定に向けての努力をしていきたいと思います。こういう時に本日このシンポジウムが開催されますことは非常に意義のあることでございまして、引き続き皆様方が活発なご議論をされまして実りあるシンポジウムとなるようご期待申し上げたいと存じます。
 最後になりましたけれども、本日ご出席の皆様方のご健勝と東京湾海洋研究会の益々のご発展を祈りまして、簡単ではございますがご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。


第一部スライド上映

司会 市川様ありがとうございました。
 東京湾イベント・シンポジウム「海をきれいに:東京湾と下水道」の第一部を行いたいと存じます。今回はパネル討論で論議を深めていきますが、下水道と海の関係についてよりご理解を深めていただくために、東京湾海洋研究会事務局が作成いたしました東京湾と下水道のスライド集を、まずご覧いただきたいと存じます。そして、その後に風呂田さん、安田さんから下水道と東京湾に関してのプレ講演をしていただきます。その後、第二部で各専門家の方々に徹底討論をしていただこうと思っております。尚、本日は進行の関係上、会場の皆様からは直接は質問を承りません。スライド、プレ講演終了後に質問票をお受けいたします。パネル討論でここが聞きたいという事がございましたら、資料集についております質問票にお書き下さい。休憩時間中にスタッフが質問票をいただきますのでよろしくお願いいたします。
 それではまずスライドからご覧いただきます。スライドの解説につきましては東京湾海洋研究会の一柳から説明があります。よろしくお願いいたします。

一柳 それでは、シンポジウムが今日のメインでありますが、シンポジウムに入る前に下水道と東京湾について皆さんに理解を深めていただきたいと思います。ある方にとってはそんなことは知っているという方もおられると思いますが、なるべく皆さんに理解をしていただきたいということで、スライドを事務局で作成いたしました。第一部でそれを見ていただいた後、風呂田さん、安田さんのプレ講演をお聞きいただきたいと思います。では照明を暗くして下さい。
 <スライド写真1>浄化ということで、これは今東京湾に残る最大の干潟で盤洲干潟、木更津の盤洲干潟という所です。実は、ここの海域のほとんどにアサリとかそういう二枚貝がいまして、それが浄化の場になっています。これは天然の浄化槽、干潟は天然の浄化槽です。しかし、日本は戦後50年間で5千万人人口が増えましたから、とりわけ首都圏は人口の集中と開発の圧力によって、東京湾の内湾、後でご説明申し上げますが、東京湾の内湾にはこういう干潟が沢山ございました。しかし、開発側から見るとこれは簡単に埋め立てられるただ同然の不動産用地ということで、こういう干潟がほとんど埋め立てられまして今まで来たと。そのかわり海にとっては浄化の場を大きく失いましたので、東京湾が色々と汚れていったというのがこれまでの経緯です。次、お願いします。
 <スライド写真2>これはアサリなんですが、水を吸い取ってプランクトンを濾し取って、また吐き出す。こういう小さな二枚貝ですが、浄化の役に非常に立っています。これが、ひとつの干潟とか浅い入り江には何万、何千万という数がいるわけですから、その浄化力は非常に大きい。そして、こういうような二枚貝は浄化しながらプランクトンを食べるから身が太っていって、それをまた人間が掘って食べるというリサイクルを繰り返しているわけです。こういう天然の生きものの浄化力ということに我々はもっと注意を払わなければなりません。勿論、二枚貝だけが浄化をしているわけではありません。海綿だとかフジツボですとか色んな生物がプランクトンを捕しております。何故プランクトンのことばかり言うかと申しますと、これは後から画面に出てきますが、今の東京湾の汚染というものは生活排水によって栄養価が、東京湾の栄養価が非常に高まりまして、プランクトンが大発生してしまう。それが大発生した状況が赤潮ということで、プランクトンが汚染の原因になってしまいます。プランクトンは無くてはならない、必要不可欠なものなんですが、ありすぎると結論的にはそれが腐ったりして困ったものになるということです。
 <スライド写真3>これはアサリの浄化力を示したものです。これがプランクトンが湧いた状況の水ですね。これにアサリを数個入れて20分なり30分なり経つと、これだけプランクトンを吸い込むという、これはよくやられる実験のひとつです。
 <スライド写真4>先程見ていただいた、一番目に見ていただいた盤洲干潟、干潟の沖とか浅い入り江の沖、海水浴場の沖。実はこの写真は観音崎三軒谷の海水浴場にあるアマモ場です。夏こういう雰囲気だと非常に快適に海水浴が出来るのですが、残念ながら冬にしかこういう水の色になりません。冬は水温の低下によってプランクトンの数が抑えられますので、青く澄んだ水の色になります。これをアマモ場と呼んでいます。横須賀市の下水道部が小田和湾でアマモ回復作戦というのをやっておりますけれども、相模湾だけではなくて、まだまだ東京湾にもこういうアマモ場がいくつかあります。ほとんど失われてしまいましたけれども、横須賀と千葉県の富津であるとか木更津の方にこのアマモ場があります。このアマモ場は海中の草原で、非常に生きものの産卵とか餌取りの場になったりですね、非常に重要な所です。次、お願いします。
 <スライド写真5>これはひとつ横須賀の海の特徴なんですが、アマモ場だけあるのではなくて、例えば横須賀の海水浴場、三軒谷とかそちらの方へ行きますと、必ず岩礁があって砂地がある。岩礁の所にはこういうアラメ、カジメの類がつきます。これも残念ながら夏の写真ではないですね。今日の下水道のテーマで、下水道を改善したり、環境を総合的に良くすれば夏にこの海が取り戻せる。30年から40年程前は、夏は横須賀の海もこうだった筈です。夏にこの海の色を取り戻すということを、ひとつのコンセプトにしたいなというふうに思っております。これはガラモ場と呼ばれている所であります。先程のアマモ場は海中の草原ということですが、こちらは海中の森林として非常に重要な所です。はい次。
 <スライド写真6>これはランドサットの衛星写真です。先程、東京湾内湾というような言葉を使いましたけれども、実は東京湾というのはどっからどこまでかといいますと、これはひとつ規定されていまして、三浦半島の剱崎から房総半島の洲崎灯台を結んだ線よりこちら側を全部東京湾といいます。しかし、ここの館山湾の方には黒潮がダイレクトに入ることによって、伊豆半島とほとんど変わらない環境の様子を持っています。この辺にはサンゴの群落が確認されています。今までサンゴの北限は、太平洋側はここだといわれていたのですが、どうやら芦名沖に北限が移動するんではないか、確認されるのではないか、というのがこの頃の情報です。それは余談ですけれど。あと、東京湾内湾という区別があります。皆さんのイメージの東京湾というのは東京湾内湾のことです。開発が非常に進んで汚れた海だなぁと思われている海が、どっからどこまでかと言いますと、この富津岬から我が横須賀の観音崎灯台を結んだ線から内側のこの海域を東京湾内湾。ここを東京湾外湾とか湾口部と呼んでおります。一目してですね、自然の海岸は曲線です。埋め立てた海岸はご覧のように全部直線になります。ここのこういう直線になったところのほとんどがですね、先程見ていただいたアマモ場とか干潟というふうに思っていただいて、それだけ海の海藻類や海虫類、あるいは海の草原、海の森林が失われたとご理解いただきたいと思います。はい次。
 <スライド写真7>じゃあその浅い海は何でそんなに大事かって言いますと、例えばマダイ。マダイは深い海の魚だと思っていますが、実は生まれてから半年位は浅い海で過ごすんですね。先程のアマモ場のような所で過ごします。これは実は横須賀の三軒谷の海岸で夜撮影した手のひらサイズのマダイ。普通、起きているときはカメラマンがこんなに近付けば逃げちゃうんですが、これは眠っている状況です。眠るとこういう筋が出で参ります。はい次。
 <スライド写真8>これはもうひとつ、ワタリガニといわれていますが、標準和名ではガザミと呼んでいます。非常に美味しいカニですね。こういうカニも干潟とかアマモ場が無いと激減します。非常に美味しいカニなんですが、こういう干潟とかアマモ場が失われたために、今、東京湾の漁獲は非常に少なくなっています。はい次。
 <スライド写真9>アマモ場とか干潟にはこういう、これはクルマエビですね。内湾のえびの王様。1キログラム8千円とか1万円するという高級な海老ですけれども、埋立が進む前は東京湾全体で年間百トン位獲れた。今は多分5トン以下ではないか、二十分の一以下に減っています。そういうように身近な環境を、良い環境があると美味しいものを育てるということ。こういう浅場が生きものにとって如何に大事かということをまず知っていただきたいと思います。次、お願いします。
 <スライド写真10>今度はちょっと、今日のテーマであります下水道の方へ行きます。東京湾流域というか、埼玉県とか東京都の奥の方からも実は東京湾にですね、下水の処理水が注いでいます。勿論、この一都二県の湾岸にも沢山の下水処理場があります。このようなところから我々の生活の排水が東京湾に流れ込んでいるという事をご理解いただきたいと思います。はい次。
 <スライド写真11>これが今日の話のテーマのひとつになるかも分かりませんけれども、下水道に合流式と分流式という方式があります。これは合流式ですね。雨水と汚水を一緒に取り込んでしまう方式ですと、雨水の量っていうのは降り出すとどの位降るかというのがなかなか予測が立てにくいわけですから、大雨が降ると下水処理場では処理出来なくなる。これは、処理出来なくなった分を横浜のある下水処理場から放流しているところ。こういう水を放流しているという現場の写真です。はい次。
 <スライド写真12>下水道の合流式と分流式ということで、ある自治体の下水道局が出しているパンフレットからです。ちょっと見にくいかと思いますけれども、上が分流式で、要するにこちらは雨水とそれから台所と洗面所とかトイレ、お風呂の水をこちらの汚水管で通して、これだけ下水処理場に持って行くわけですね。下が合流式です。1975年までは、今から23年前までは合流式ということで、お風呂の水もトイレの水も雨水も一緒に下水処理場に送っていた。下水処理先進市程この合流式の部分が多い。この合流式の部分は先程の写真で見ていただいたように、大雨の時のような場合は処理できない水が流れてしまう。合流式を分流式に直す方が先ではないかというような意見も出ておりますので、この辺、シンポジウムの方で話があるかと思います。合流式と分流式という両方の方式、環境にとっては分流式の方が全然良いと、これは資料集の方にも書いてありますので、後で話が出たときに意味はどうだったかなと思い出す時には資料集の方を見て下さい。はい、次、お願いします。
 <スライド写真13>これはですね、台風の後横須賀に流れ着いたゴミ、汚水の類ですね。残念ながらと言いますか、東京湾の水の流れというのは時計回りと逆回転をしますので、汚れが外洋へ流れていくときには、川崎、横浜、横須賀を通って外へ出ていくということなんで、必ず汚れた水は横須賀の目の前を通って行くという宿命がございますので、これは合流式のある種弊害、大雨の後二日三日経つとこういう現象が横須賀の海に現れるという現場写真です。はい次。
 <スライド写真14>これは海水浴シーズンで大雨が降った三日後位です。横須賀市だけの汚水でこうなったわけではありませんけれども、観音崎の海水浴場でですね、やっぱりこれだけ醤油をこぼしたような海の色。これは要するに肥やしを蒔かれてしまったような海で、プランクトンが大増殖して水の色がこういうふうに変わってしまった。さすがに子供達も泳がないですね。この水の色になると。先程見ていただいたアマモ場とかガラモ場の水の色だったら気持ちよく泳げるんですけれども、残念ながら夏の多くはこういう海です。はい。
 <スライド写真15>今度はプランクトンではなくて、その富栄養価の水を元にしてアオサが大量に発生した状況です。これは鴨居のある夏の光景ですけれども、これはこのまま放っておけば腐りますんで、ここでまた硫化水素が湧いたりして、また海の方に悪影響を及ぼす。こういうのがいわゆる有機汚濁の二次汚濁と言われている現象です。はい。
 <スライド写真16>これは対岸の写真です。対岸といいますと、先程館山のサンゴというような事も申し上げましたけれども、その館山湾です。これは実は刺身のつまにするオゴノリが大量発生しているわけです。これ程大量発生するということは、館山湾の方でも、多分あそこはそう公共下水道がそんなに入ってないと思いますので、単独浄化槽等の水が湾に流れ込んでこれだけの海藻を増殖してしまう。これもこの状態だと海水浴客が気持ち悪がりますので、海開きの前にですね、館山の方ではこれを全部ブルドーザーで削り取って処分場に捨てているんではないかと思います。はい次、お願いします。
 <スライド写真17>そういうプランクトンが沢山湧いている海の中はどうかということで、海の中の写真です。こういうふうにプランクトンが湧いてある時期経ちますと、植物プランクトンの生命が終わって、プランクトンが壊れたりなんかしたりして、時にはこういうふうに絡み合い等しながらどんどん海底に溜まります。海底に溜まった物が、要するに腐泥と言いますか、ヘドロ状になってこういうふうに溜まります。はい次。
 <スライド写真18>ある程度生きた海と言いましょうか、横須賀辺りの海ですと、こういう降り積もった腐泥というかデトリタス、色々な生きものの切れっぱしというか、糞ですとかプランクトンの死んだ物とかが海底に溜まります。こういうふうに、それをナマコとかイソギンチャク類がそういう物を食べるんですね。これは一種の掃除屋になっているんですけれども、だんだん横浜港のような所にいくとこういう生きものもいなくなります。はい。
 <スライド写真19>これは、どの位ヘドロが溜まっているかという調査の写真なんですが、氷川丸のすぐ側です。この棒は長さ2メートルの棒で、これはひとつの線が20センチメートルだったかと思いましたけれど、2メートルの棒をどれだけヘドロが溜まっているかと突っ通してみたところなんですが、1メートル50センチ位はヘドロが溜まっているという状況ですね。港のように波を立てない構造にしますと、ヘドロが非常に溜まり易いことになります。これは実は白カビのようなものが生えていて、ここが一部黒く見えますけれども、これは硫化水素が吹き出している状況です。次、お願いします。
 <スライド写真20>これは更に小難しい話になりますけれども、要するにもう酸素が無い海底の状況ですね。こういうふうに酸素が無くて嫌気性の世界になりますから、嫌気性バクテリアが発生して海底がこういうふうに、言ってみれば完全にドブの底になっているというのがこの写真です。こういうカビが生えている。これは横浜の本牧の夏なんですけれども、横須賀ではまだこれ程ひどくなっていません。内湾に行く程こういう状況になります。冬はここに水の交換で酸素が行き渡りますから、こういう状態では無くなります。次、お願いします。
 <スライド写真21>これは風呂田さんが撮影された青潮という現象です。横須賀とか神奈川の人では青潮というとあんまり馴染みが無いかもしれません。赤潮ほど馴染みが無いかもしれませんが、先程ちょっと言いました硫化水素がですね、硫化水素を人間がそのまま吸えば、へたをすれば死んでしまう有毒のガスですが、この硫化水素が湧き出して秋口に起きる現象ですけれども、硫化水素という言葉通り硫黄物が入っていますから、その水が海底に留まっている内はまだ良いんですが、それが風等の影響によって浅瀬の方に引っ張り上げられてしまう場合があります。そうしますと、これは酸素の無い水ですから、生きものがほとんど大ダメージを受ける。はい次、お願いします。
 <スライド写真22>これは風呂田さんがお撮りになったコハダですかね。沢山こういうふうに死んでしまう。こういう魚が死ぬときは、先程の二枚貝とかそういうものもほとんど死んでしまう。これが東京湾汚染の究極の問題ですね。汚染の最大のつけが青潮という形で、毎年東京湾の奥の方でこういう状況が起きています。はい次、お願いします。
 <スライド写真23>これが東京湾埋立の変遷ということで、この図を一回で見て全部記憶してもらうのは非常に難しいのですけれども、明治はこの色だからこの位だったんですが、川崎の工業港とか横浜港とか横須賀の軍港、それから戦後にはですね、千葉の京葉臨海工業地帯とか京浜工業地帯がさらに埋め立てられる。あるいは、東京港がどんどんどんどん埋め立てられるということで、かつて東京湾は12万ヘクタール位あったと言われていますけれども、もう2万数千ヘクタールは埋め立てられたんではないかと思います。それだけ貴重な浄化の場が失われたということです。海を汚しているのは下水道だけということでは無くて、こういう開発がやっぱり原因のひとつです。今までの都市開発の上では、人間達が生活する上でやむを得ない部分もあったんですが、浄化とか環境回復というよりも経済発展の方に勢いがついていた結果がこうなった。これからどうして環境を回復して行くかというのが今日の論議のテーマになると思います。はい次、お願いします。
 <スライド写真24>下水道の水がどれ位東京湾に注いでいるか、埼玉県を入れれば一都三県、七都県市で首都圏サミットなんていうのも行われていますけれども、そういう都市からどれだけの水が流れているかっていうものがこの表です。一回見ただけではなかなか頭に入らないと思いますが、こういう数字であるということ、こういう状況であるということをご認識いただいて、後は風呂田さんと安田さんの方からプレ講演でさらにこのスライドを補強して皆さんの理解を深めたいと思います。
 ご静聴ありがとうございました。


プレ講演:風呂田利夫

司会 それでは、東邦大学理学部助教授であらせられます風呂田利夫さんよりお話をいただきます。風呂田さんは1948年福岡県に生まれ、1970年東邦大学理学部生物学科を卒業。東邦大学助手を経て1996年東邦大学理学部生物学科助教授となられました。東京湾に潜って25年、東京湾研究者の第一人者でいらっしゃいます。では、東京湾の海から見た下水道についてお話しお願いいたします。

風呂田 東邦大学の風呂田です。今、一柳さんから東京湾のスライドを見せながら東京湾の紹介をしてもらいましたけど、先程司会の方から東京湾に潜って25年という紹介もいただいたのですが、実は彼とは潜り始めた当時からのお付き合いが続いています。長年付き合っていますから言いたいことも色々とよく分かっていて、彼は僕の事分かりすぎていて、僕の喋ろうとしたことを全部喋ってしまいました。(笑)
 これから何をお話をしていいか、ネタに困るような状況でして、もう少し具体的なところを話させていただきます。東京湾にとって今どういう問題が一番重要なのか、それを解決するために特に下水道との関係、あるいは生物の生息空間との関係ということで、議論がいただけるようなお話をさせていただければというふうに思います。
 私事ですけど、今住んでいるところは成田でして、横須賀線で行けば一本は一本なんですけれども、一番北の端から今日は南の端まで来たわけです。電車に乗って約3時間かかりました。暇だったもんですから思いついたようにちょっと計算してみたのですが、東京湾の面積、さっき一柳さんはかつて平方キロに直すと1200平方キロメートル位あったと。それが現在では多分千を割って、960平方キロ位だったと思います。約1千平方キロメートル位の面積があるわけです。かつてはそれが1200平方キロメートルでした。それで、東京湾の流域に住んでいる人の人口がだいたい2500万人です。ざっと割り算をしますと、一人頭の東京湾の面積というのは37平方メートルでした。坪数にすればだいたい10坪ですか。10坪ちょっとより多いと思いますが、それ位の面積が東京湾の周りに住んでいる人にとっての一人頭の面積です。下水道だとかそれから河川を通してですね、そこにどんどん生活上あるいは産業上あるいは農業上出てくるものを、人間はどんどん出していますから、結果的にはそれぞれの排泄物を含む物質というのは東京湾の中の約10坪位の所に流れ込んでいることになると思います。
 それだけ想像していただいても分かると思いますが、その程度の面積であればですね、そこにちょっとした汚れたものを流して行けば、水はどんどん悪くなって行くということはご想像いただけると思います。それでも現在の東京湾というのは、漁業は勿論続いていますし、皆さんレジャーで潮干狩りも行かれますし、海水浴も行かれる。それから、渡り鳥も来ればですね、色んな生きものの生息空間もまだあります。にもかかわらず、それだけの生きものがいるということ自体が、ある意味では非常に大きな驚きなのです。おそらく世界中でこれほど人間によって改変させられてしまった海も無いですし、それでもなおかつ生物が生き残っている海も珍しいケースではないかと思います。但し、先程のスライドの中にありましたように、様々な問題を抱えてまして、昔に比べれば東京湾の生物の生息環境としては非常に悪くなっていることは当然の事実であります。
 先程のスライドの中ででもですね、下がヘドロになっていてプランクトンの死骸が降っていて、それが環境問題、特に酸素の問題で重要なことであるということがあったわけですけれども、もう少し具体的に言いますと、だいたい植物プランクトンが増えるには栄養物が必要です。そのときの基本になるのはリンとか窒素といわれる富栄養価物質ですけれども、これは人間が生物である以上、人間が生活して行けばどんどん外に出さざるを得ない。それが排水となって海に行けば、当然海の中でそういったリンや窒素の濃度が上がってくる。そうしますと、これは当然の成り行きですけれども、栄養が沢山あるということで植物プランクトンが沢山増える。これは私達の感覚からすれば水が透明で澄んでいるものからプランクトンが沢山いる濁ったものに変わって行くということで、一見濁って汚いというイメージを持ちますけれども、よく考えてみるとそれはほとんど植物プランクトンですから、陸上で考えると草が茂り木が育ちという、いわば緑の大地が広がっているという状況に近いわけです。ですから、それ自体が環境として悪いということでは基本的に無いわけです。、例えば年間に何回も起こらないような、もの凄く濃い赤潮が出るほど植物プランクトンが増えれば、勿論それ自体が色々な影響を及ぼしますけれど、通常の植物プランクトンが増えている状態、私達が東京湾の色として目にするようなちょっとした茶褐色程度ではダイレクトに生物がダメージを受けるような事は無いわけです。それどころか、かつて存在した、今では盤洲だとか、東京湾の奥では三番瀬のような干潟域しか残っていないわけですけど、そういう所があった場合にはむしろ、その植物プランクトンはアサリを含む色んな生物の餌として非常にありがたい存在だったわけです。
 船橋の所に私の大学がありますので三番瀬等へよく行きますけれど、漁師さんなんかは赤潮というような言い方をしないで、そういったプランクトンが増えた水を赤水と呼んでいます。これは嫌うんではなくて歓迎します。何故かというと赤水が入って来るとアサリが肥える。当たり前の話です。餌が沢山来ますから、そのプランクトンがアサリの肉に変わっていくわけです。まるまる肥えてて食べて美味しいし、食べがいもあるというふうに変わっていって、商品価値も高くなる。それはどういうことかというと、植物プランクトンが増えて、それがもし生物に食べられれば基本的に海の環境としては全体的に生物を増やして豊かな方向に行くわけです。勿論、アサリが増えれば、それの排泄物として色々なものが出ますし、また水そのものもプランクトンが除かれて透明度が上がって光が当たるようになってきますから、全体的に環境が良くなって他の生物も増えてくるということになるわけです。ですから単純にプランクトンが増えたのが悪いというわけではなくて、実は基本的構造としてはそういったプランクトンをうまく生態系の中で生物生産に結びつける。そういった空間が無くなってきたことに大きな原因があるわけです。
 東京湾のかつての干潟も現在では90パーセント以上が埋め立てで無くなりました。昔は、昔といってもだいたい昭和の戦争が始まる前位の時を考えますと、ほとんど干潟が残ってましたから、今の10倍以上の干潟があるわけで、ということはその10倍以上の植物プランクトンを食べる力があって、それによってその分の高い生物生産があったということになるわけです。それが無くなってくれば今のスライドにありましたように植物プランクトンは他の生物に食べられないで、そのまま寿命を終えて海の底に沈んで行って、要するに今度は汚物として海底を汚してしまうといったことになってしまったわけです。これはそういう機能を単純に計算したケースもありまして、水産庁の方で委託研究でやった方もいらっしゃるんですが、かつての東京湾のような干潟が全部取り巻くような海岸構造であったら、今の東京湾の中辺付近でも酸素欠乏による生物の斃死は起こらなかったであろうと、そういう推測もなされています。これはモデルを作ってシュミレーションするわけですけれども、そういった事も検討されています。ですから基本的なところとしては、そういう生物による浄化力が失われてきたのがひとつ原因がある。
 じゃあ、今現在そういう環境の中でどういうことをするかということを考えて、将来の東京湾を考えなければいけないわけですけれども、そういった干潟とか浅い場所は皆そうなんですが、生物が沢山住めるのは何故かというと、基本的には大気とガスの交換が早い。要するに酸素も沢山溶け込んでくれば炭酸ガスも溶け込んでくる。光が当たりますから、中で植物もどんどん成長して餌にもなれば酸素の供給にも役立つということがあって、非常に物質のやりとりがうまく行くわけです。ところが深くなってくると、その水の中に酸素がある間は生物が沢山住めます。海底に落ちた有機物も餌になるわけですから、増えて行くわけですが、一回その水の交換が止まってしまうとどうなるか。だいたい東京湾の平均水深が15メートルですから、このホールの天井位ですかね。そして特に今のような暑い時期ですと、お日様が上から太陽で表面の海水を温めますから、上の水だけ温まってしまう。そうすると、上が軽くなって、その水が降りて来ないわけです。ところがプランクトンの死骸だけが下りて来る。そうすると、それが分解で酸素を使って、下の方は酸素の分解はどんどん進むんだけれども、上から新しい水が降りて来ないんで、最終的には酸素が無くなってしまう。結果的にはその生物はどんどん死んでいかなければいけない。死んでいくとその生物の死骸までも、また次の汚濁源として働いてきてしまう。そういうことになって最終的には東京湾の広い範囲で、少なくとも夏の間だけ、生物が全く住めないような海底域が出来てしまうわけです。
 そういった空間がどれ位あるかといいますと、皆さんのお手元に東京湾の絵もいっぱいありますけども、簡単にいえば今のアクアライン、木更津と川崎を結んだところにあります。あれより奥の方で水深が10メートルを超えるようなところでは、夏場はほとんど酸素欠乏によって生物が死んでしまうという現象が毎年のように起こっています。それでも秋になって冷たくなってくると今度は上の水が冷えてきますから、その水が重くなってくる。そうすると下の方に降りて来る。そして酸素も一緒に運んでくる。そうすると下の方でも生物が住めるようになって、また生物の復活が始まる。秋口以降になると成長の早いものがそこでわぁっと爆発的に増えて、また次の年の春を迎えて、次の年の夏の酸素欠乏をまた迎えざるを得ない。そうするとまた死んでしまう。そういった大きな変動を繰り返しながら、今の東京湾の現状をつくっているわけです。
 ですから、基本的に東京湾全体を良くしようとする場合には、その夏場まで生き残っていた生物が夏を越せれば随分状況が変わってくるわけです。その状況をつくるには酸素不足を結果的にどの程度まで押さえるかということ。ゼロに押さえる。酸素が全く減らないという状態まで行かないとしても、少なくとも生物の死亡が起こらない状態まで酸素欠乏の状況というものをやわらげてあげれば、それで十分生物が生き残ってくれるわけです。それが濃度的にいうとだいたい3ppm、酸素濃度で言うと3ppm位であろうというように言われていますけど、実際どれ位かと言いますと、通常の40パーセント位の酸素濃度です。それ位あれば何とか生物は夏の間でも生き延びてくれるんじゃないかと言われています。そこに持って行くには基本的には植物プランクトン由来の有機物の量を減らして、水の交換性を高めるという事しか無いわけです。かつてのような周りに干潟が取り巻いていて生物浄化力が高ければ基本的にはもう植物プランクトンは除かれていますから、そういった心配はあまりしなくてすんだんです。そういった環境は今でもありますから残して行かなくてはいけない。あるいはもう場合によっては小規模でも結構ですので、小さなそういう浅場を造成しなければならないことも起こるかと思います。基本的には海水中で植物プランクトンを増やすリンや窒素といった栄養物を下げていくということが現実的な課題になるわけです。
 残念ながらといいますか、当然の事ながら下水道が普及していきますと、基本的にはそのリン、窒素の供給源が下水道の方に移って参ります。今までは極端に言えば垂れ流しでしたから生水で海を汚して、それ自体も確かに海洋の汚染につながっていたんですが、それを無くそうということで下水道の普及を計っていけば計って行くほど、その処理水の中に含まれているリンや窒素等が具体的な汚濁源となってくるわけです。ですから、その水をどういうふうにするかということが極めて今日的な課題ではないかと思います。
 実際、下水処理は色々と進歩しまして、技術的な問題もうまく行っていますが、かなりリンや窒素を除けるようになったとしてもですね、これをゼロにすることはほとんど不可能に近いわけです。費用と時間とエネルギーをかければそれは可能なのかもしれませんが、これはまた別の弊害を生んできます。ですから、基本的に下水処理水からリンや窒素を除くことは、完全に除くことはもう無理である。
 じゃあ次にどういうことを考えなければならないかというと、そういった処理水をどうやったら東京湾のプランクトン、植物プランクトンの栄養として使わせないか、使わせない方法は何かということを考えざるを得ないわけです。そのための一番良い方法というのが、直接東京湾に流し込むのではなくて、リンや窒素っていうのは基本的にはこれは資源ですから、植物プランクトンが増えるというのは、それは生物にとっての資源という意味ですから、陸上の植物だとかあるいは陸上の水、淡水ですね。淡水の中で生物の生産に使われることによって少しでも除去していく。最終的にはその生物を通しながら海に注いで、いわゆる浄化された水として東京湾の中に入ってくる。そういった全体のですね、水の流れのシステムをもっと生態系を通す形で考えざるを得ないんじゃないかというように思います。ですから、最近の下水道計画、私はよく分かりませんけれども、だいたい今までは下水道を造るっていうのは東京湾の湾岸部に持ってきました。何故かっていうと、一番下流ですから集めやすいっていうことと、埋め立て地を造成して、そこに下水処理場を造るっていう立地条件も良いということで、東京湾岸にどんどん下水処理場を集中化させようとしたと思います。でもそれをやりますと、結果的にはその先の下水道水が一番悪い方向にしか使われない。ですからその辺の全体的な見直しも含めて、下水処理水を排水ではなくて色んな資源として使えるような、要するに生物に利用できるようなシステムづくりをご検討いただければなというふうに思います。
 そういう形で東京湾に入ってくる栄養物の濃度を下げる。それから現状ある浄化力、あるいは生物生産力の高い干潟環境、浅瀬環境ってものを保全する。その上でなおかつもっと生物が沢山住めるような東京湾の海岸構造づくり、今あるようなテトラポットだとかコンクリートでぱっと切られた所ではなくて、なだらかな緩斜面の海岸であって、なおかつ直線ではなく凸凹に富むような入り江があったり岬があったりするような、そういった複雑な構造にすることによって生物の生息空間を拡大して、その分だけ浄化力が上がって生物生産を上げる。そういう二面の対策というものをやって行かなくてはならないんじゃないかと思います。
 どうもありがとうございました。


プレ講演:安田八十五

司会 風呂田さんどうもありがとうございました。
 次に筑波大学助教授でいらっしゃいます安田八十五さんよりお話をいただきます。安田さんは1944年横浜に生まれ、1969年東京工業大学数学科卒業。1981年米国ペンシルバニア大学地域科学部準教授に、そして1983年筑波大学社会工学系助教授になられました。都市政策学、環境政策学、政策科学、社会システム論を専攻され、環境経済学者でもあられます。では社会学的にみた下水道についてお話をお願いいたします。

安田 筑波大学の安田でございます。今、風呂田さんから理学的、生物学的な話があったので、私は社会学的な面からお話ししてみたいと思います。(注:ここで示すOHPの図表の作成に関して筑波大学安田研究室の沼田和敏及び西村奈緒子の協力を得た。深く感謝する。)
 <OHP画面1>東京湾の問題点。まず、水環境の現状と問題点をお話ししたいと思います。それから、何故こういうふうに汚染されてきたかっていう、その原因が基本的には開発にあるわけでして、その現状の課題。そして水環境を形成するのに下水道はどういう役割を果たしているのか、プラス面とマイナス面があるわけですが、その辺の話をして最後に水処理システム、更には下水道っていうのはどういうふうにすればですね、東京湾が綺麗になるのかと、そういう視点からお話ししてみたいと思います。次、お願いします。
 <OHP画面2>これは東京湾のBOD負荷量推移ですが、昭和51年から見ますとかなり改善はされております。はい次、お願いします。
 <OHP画面3>BODの負荷量で見ていただくとですね、下水処理場の負荷量が48.8パーセントといことで、かなり高いわけです。これは何故かというと、排水量で見てみますと90パーセントが下水処理場から出てきているということでございます。これは東京都のデータです。はい次、お願いします。
 <OHP画面4>汚染の状況ですが、最近問題になっているダイオキシンです。こういうようなデータで、特に多摩川等ではコイの雄が雌化したりしてるようなものが指摘されています。次、お願いします。
 <OHP画面5>これは東京湾のスズキの中のPCBの濃度でして、1981年と1991年にかなり高い濃度が指摘されています。最近の環境ホルモンなんかに関係してきます。一番大きい問題は赤潮とか青潮なんですが。次、お願いします。
 <OHP画面6>赤潮の発生回数を調べたものがこれでして、平成8年度を現在時点で考えていただいて、過去17年間でみますと、かなり夏にですね、7月、8月、9月に過去と比べて多く発生している。そして発生日数も多くなっているということがございます。次、お願いします。
 <OHP画面7>これは赤潮発生回数を期間別にみたものでございます。過去の昭和58年から平成8年度にみて、特徴としては昭和61年にちょっと多く見られます。だいたい発生回数は同じ位なんですが、発生期間の延べ日数が6日から10日位ということで、かなり増えてきているというのが特徴でございます。次、お願いします。
 <OHP画面8>次に赤潮発生水域の規模ということで、これは東京都のデータなんですが、全体的に起きている。次、お願いします。
 <OHP画面9>これは東京湾の赤潮発生の年度別の推移をみたものでございますが、平成元年から平成7年でそんなには増えてないですね。だいたい20回位起きているわけですが、延べ日数をみてみますと、70日から120日位までですね。二倍くらいに延べ日数が増えているのが特徴でございます。次、お願いします。
 <OHP画面10>これはさっき風呂田さんからお話がありました、酸欠状態の青潮の発生のデータです。こういう状態でかなり発生してきている。次、お願いします。  <OHP画面11>それとばしていいですね。
 <OHP画面12>それもとばしましょう。
 <OHP画面13>これはですね、閉鎖性水域といわれる東京湾、それから伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海ですね。これの水質基準のCODでみた水質環境基準値を出したものですが、東京湾はあまり良い方ではないというのが特徴でございます。はい次、お願いします。
 <OHP画面14>これは主要海域のCODでみた環境基準の達成率を出したものですが、東京湾は63パーセント位で、瀬戸内海等に比べるとあまり良くないことがございます。次、お願いします。
 <OHP画面15>次は東京湾の富栄養化指標の経年変化です。富栄養化の原因となっているのが窒素、リンということで、下水処理も特に東京湾地域では二次処理なので、三次処理してませんので窒素、リンが出てきますが、かなり最近増えてきているというところが特徴です。はい。
 <OHP画面16>だいたい全体的にみますと、かなり富栄養化等悪化しているということですが、この基本的な原因としてやはり東京湾岸地域の開発ということがあります。先程の皆様方のお手元の東京湾の埋立図にも出ていたと思うのですが、江戸時代から約二割埋め立てられてきてるんですね。特に昭和40年代の高度経済成長以降ですね。昭和35年、1960年ですが、それ以降開発されてきて、木更津の盤洲干潟とか、西側の神奈川方面では横須賀の一部ですとか、自然海岸線がそういう所にしか残っていない。無くなってしまったということでございます。はい次、お願いします。
 <OHP画面17>東京湾の水際線で延長が840キロメートルでございます。一番下にちょっと注目していただきたいと思うのですが、立ち入り不可能な水際線が642キロメートルということで、約八割の水際線には立ち入りが出来ないというのが現実になっているわけです。ほとんどコンビナートに利用されたりしていると思います。はい次、お願いします。
 <OHP画面18>この基本的な原因はやはり東京湾に人口が集中していることです。さっき風呂田さんの話で約2500万、一都三県で3000万といわれていますが、特にその昼間人口と夜間人口でみますと、夜間人口は昭和35年から見て、960万位から1170万ということでそんなに増えてないんですが、昼間人口が約500万位増えて非常に東京への集中が進んできているというのが特徴でございます。次、お願いします。
 <OHP画面19>これは首都圏基本計画の広域道路網計画ですが、まだまだこれから道路を中心に開発が進められるということです。東京湾横断道路に関しては、出来るときに私、エコノミストという雑誌にこれは必要無いんじゃないかいうことを書いて、国会でも建設委員会のそういう公聴会で参考人で行って話したことがありますが、やはり私の予想通りほとんど需要がないということが分かっています。公共事業に対する厳密な評価、環境への影響だけじゃなくて、費用対効果ですね。そういうものを評価していくことがこれから必要です。横須賀でも湾口橋の話が出ていると思いますので、その辺をもう一度公共事業の再評価という事を考えて行く必要があると思います。次、お願いします。
 <OHP画面20>先程もちょっと出たんですが、排水量の推移を表したものでございます。下水処理場の排水の一番上を見ていただくと、平成元年度で530立方メートルですが、これが平成8年、8年間で10倍になってきている。これが特徴でして、右側に合計がありますから、排水量のほとんどは下水処理場からの排水で出てきているということになります。次、お願いします。
 <OHP画面21>これは下水処理場の実績データでちょっと細かいのでとばします。
 <OHP画面22>これは事業所のデータなんですが、小規模な事業所が非常に多いというのが特徴でございます。
 OHPはこの程度で終わります。
 もう少し時間をいただいてお話ししたいと思いますのでライトをつけていただけますか。
 基本的な私の認識といたしましては、かなり東京湾が汚染されて富栄養化状態、慢性的な富栄養化状態になっているということです。私は勤務先が筑波大学なもので、ずっと霞ヶ浦の研究をやっていました。ただ、私自身が横浜の出身で今でも磯子区に住んでいますので、子供の頃横浜港で泳げて、ワタリガニなんか獲れたわけですね。そういう記憶から考えると、東京湾というものがですね、非常に悲惨な状況になっているんじゃないかと、こういうふうに感じます。
 基本的にはこの東京湾流域への人口、産業の集中が原因なんですが、それをもし認めたとしても対策的にいくつか問題点があって、ひとつは先程風呂田さんの話にもありましたが、下水処理だけで、これを下水神話というそうですが、下水処理をやれば水が改善されるという一種の神話みたいなものがあってですね、ところが必ずしもそうではない。今、琵琶湖とか霞ヶ浦ではですね、富栄養化防止条例というのがつくられて、もう二次処理では窒素、リンが出てきてしまうから駄目だということで、三次処理を義務付けているわけです。東京湾も基本的には琵琶湖とか霞ヶ浦と同じ閉鎖性水域なわけですね。ですからやはり処理方式としては、これからは三次処理が必要になってくるんじゃないか。ただ、三次処理すると非常にお金がかかりますから、それを誰が負担するかという問題があります。私達環境政策学をやっている人間の意見としては受益者負担つまり排出者負担でやると、そうするとかなり高い水道料金、下水道料金を負担しなければならないという形になります。それから財政にもですね。東京湾でやったことはないんですが、琵琶湖でやってみましたら滋賀県の財政に大きい、非常に大きい影響を与えてしまう。財政がパンクしてしまうというのがございます。
 それから今、下水道普及率が東京湾では東京、神奈川でだいたい100パーセント近くなっています。だいたい平均で8割以上になっていますが、まだ進んでいないところがあります。そういう所に関しましてはですね、霞ヶ浦でいえば単独浄化槽は禁止ということになっていますが、やはり東京湾地域でも単独浄化槽は禁止にすべきであって、合併処理浄化槽を造るべきですね。農業地に関しては農業集落下水道システム。そういうものを市街化調整区域とか農村地域にやっていかないと負担が大きくなってしまう。
 最終的にはですね、私はこの下水道によっては水質の改善はできないんじゃないかと基本的に考えています。つまり、終末処理という末端でやるっていう考えに基本的な問題があって、排出源でなるべく汚染しない水を出していくということが重要です。そのためには今、我々が生活で使っている、例えば合成洗剤みたいなものをそのまま使って良いのかどうか、私達のライフスタイルそのものをやっぱり問う必要があるんじゃないかと、そのように考えております。


第二部パネルディスカッション

司会 それでは第二部パネルディスカッションを行いたいと思います。ではまず、本日のパネリストの方々をご紹介させていただきます。
 まず第一部でお話をいただきました風呂田利夫さんです。よろしくお願いいたします。そして安田八十五さんです。お願いいたします。次に、横須賀「水と環境」研究会、環境コンサルタントの高橋弘二さんです。高橋さんはこれまでエンジニアリング会社で国内外の工場等の用水、排水処理施設計画、設計、試運転に従事し、現在は環境コンサルタントと主に水環境の調査、計画等を行っております。現在、国際協力事業団の業務として中国猫跳河流域環境総合計画調査に参画中でいらっしゃいます。横須賀「水と環境」研究会、よこすか自然環境探偵団、よこすか環境懇話会等地元の環境保全活動を行っております。よろしくお願いいたします。次に元横浜市環境保全局長の鈴木重之さんです。1961年横浜市入庁、下水道局中下水処理場勤務。1968年下水道局拡張課等を経て、1995年から1997年まで横浜市環境保全局に従事されておられました。よろしくお願いいたします。そして、横須賀市下水道部長の野村富久さんです。1963年日本大学理工学部卒業。1970年横須賀市下水道部計画課河川調査係長に任官。1994年横須賀市下水道部長、現在に至っております。よろしくお願いいたします。
 そして、進行、コーディネートは東京湾海洋研究会会長の塩井豊。そして本日のシンポジウム・プロデューサーを務めます、一柳洋です。一柳の方の紹介を簡単にさせていただきます。1950年横須賀市深浦に漁師の三男として生まれました。1974年スキューバダイビングを始め、1976年より水中撮影も始めております。1991年横須賀市市議初当選。1993年東京湾全体の保全計画をつくるための啓蒙活動のための東京湾海洋研究会を結成いたしました。横須賀市議会議員であり、海洋ジャーナリストでもあります。では進行の方、よろしくお願いいたします。

一柳 それでは第二部のメインであるシンポジウムの方に入りたいと思います。通常ですね、これは行政でもNGOでも右や左でも、今まで行われたパネル討論というのはほとんどパネリストが討論しないで、ひとりひとりのパネリストの方が一方通行で話して、それで終わりというパターンがほとんどです。日本人がよくディベート下手といわれていますけれども、お互いの人格を尊重しあって、厳しく批判したり、それは違うんではないかという異論を述べない。そういうシンポジウムが往々にございました。
 今回はなるべくそれをやめたい。本当の意味のパネリスト同士の討論に時間を割きたいとパネリストの方々にもそれはお願いをするときから申し上げておりますので、その辺を期待したいと考えております。
 休憩時間中に会場から質問をお受けしたんですが、今、塩井の方が整理中ですので、途中で論議とあんまりかけ離れないような質問を中心に取り上げさせていただこうと思います。場合によっては、せっかくご質問いただいたことに触れないで終わってしまうかもしれませんが、それは進行の不手際ということでお許しいただく場合もあるかもしれません。
 それでは早速討論の方に入りたいと思います。
 このパネル討論の前の第一部でですね、私を含めて三人がプレ講演あるいはスライド報告をしたんですが、通常、だいたい15分というと25分喋るタイプの人だったはずなんですが、今日に限って20分の持ち時間を15分程度で皆さん終えていただきましたので進行が早くなりました。けれども、その分パネルディスカッションの方に時間が費やせるようになりました。
 今日は予め事務局の方で6点程度の討議材料を用意しておきました。その点については質問も後から入りますので、皆さんの方にはこういう討議資料ですよという形では資料としては付けておりません。事務局で考えたテーマというのは、ひとつには下水道は今のままで良いのか。今のままで良いと思えばこういうシンポジウムはやらないんですけれども、そういう評価ですね。じゃあその下水道をどう改善していくのか。 二番目には、処理した水が海に与える影響を考えないでいいよというのが今までの下水道のあり方だったんですが、そういうことではいけないんじゃないかということ。 三番目には、下水処理の理念の変化というものがあります。確かに今、環境問題をここまで取り上げ、これから更に深めて行くわけですけれども、実は下水道と環境という視点は気がついている人は20年も前から言っていたんです。しかし、社会全体が下水道と環境という視点でとらえるには、まだまだ相当時間がかかって、まだまだあまねく市民、納税者の方が、実は河川や海を汚しているひとつの原因であるという認識には至っていない。というのは下水処理が造られたのは、中世のヨーロッパに始まるわけですけれども、衛生問題が中心であった。次には都市生活の利便性、快適性ということで、水洗トイレ、当然それは下水処理につながるわけですが、そういうものを求めてきた。これが今まであった。ところがその快適性のもとですね、ジャッと流せば汚いものはみるみるうちになくなっちゃうわけですから、そこから考えなくて済むわけですです。けれども、実は大変な努力をしながら処理をしていて、それはもともとああいいう水ですから、なかなかきれいにはならない。それが海や川に流れる。そうすると、トータルに流れた先のことを考えて、第一部で浄化力の話しも色々と出ましたけれども、やっぱり浄化力と関連して考えないといけないんではないかということがひとつ。
 それから環境基準を達成したら、環境の時代で各々の自治体努力しておりますし、横須賀市では先程の収入役の挨拶の中にありましたように国際標準規格のISO14001で、とりわけ下水道が環境目標をスパイラル状に上げようという目標を立ててます。そういう意味を含めて環境基準を達成したらですね、例えば水域類型が今まで通りではなくて、それはアップして行く。あるいは、今は一律の放流基準なわけですけれども、東京湾の海域毎に、それは自治体の行き着く先は分権論とつながるかもしれませんけれども、海域毎に自治体が環境基準を設定したって良いだろうということ。なにも建設省の指示に全部従うことは無いんじゃないだろうかという、そういうテーマをあげたいと思います。
 それから、ここまで行けるかどうか分かりませんが、改善に向けて政治的、行政的順序があるだろうということ。優先順位からやればどう考えていけば良いだろう。これらを各パネリストの方々に聞きたいと思います。  最後に環境再生事業といいましょうか、水に親しめる海岸づくり。安田さんのお話にもありましたが、東京湾沿岸の8割以上が、特に内湾の方は水に触れることが出来ない。納税者は税金払ってて水に触れられないのはおかしいんじゃないか。そういう意見もある。じゃあ、公共事業のあり方をどう振り向けて行くのか、行ったらいいかという、そういうような大きく分けて6点の項目を用意しました。
 そこでまず、今のままで良いのかという評価。これはもう第一部で出たようなことがありますけれども、ここではまずこちらから指名をさせていただきます。今まで行政の担当者でおられた鈴木さんにですね、このままで良いのか、どう下水道を変えていくのか。元行政マンの方から聞いて、いやそうじゃないよという現職の野村さんの反論などがありましたら、またそれでやっていただきたいと思います。途中で発言をされたいというパネリストは遠慮なさらずにどんどん手を挙げて下さい。こちらが割って入ってその方を指します。またOHPを使って説明なさる方は、その時点でOHPを使いたいってことを言って下さい。照明を暗くしてもらいます。
 それではすいません。ほとんど前触れなくトップバッターで指名して申し訳ありませんが、鈴木さんの方から「今のままでいいのか下水道」というようなところでちょっと話のきっかけを出していただければと思います。

鈴木 はい。先に結論、判決主文で言いますと、良いわけないんですね。ですが、この評価をするということがひとつは大事だろうかなと思います。今のこの時点で言えば、下水道はこのままで良いわけないと思っています。基本的に。ただ、今から30年前の下水が全く普及してないときに、その時代の技術を使って下水道を発達させて下水を処理したということは評価されてしかるべきだというふうに考えております。
 先程、一柳さんのお話でも下水道の発展ていうんですか、歴史がありましたね。1800年代にイギリスで下水処理というのが始まりましたけれども、その頃はまさしく溜めてテムズ川に排出するだけ。それでもその時代は、衛生という点からいいますと、その技術、施設なりは当然評価されてしかるべき良いものであった。ですが、だんだんと時代が進んできて、あるいはこれは人口の問題や都市の成り立ちの問題等もありますけれども、そういった点からみるとそれだけでは不十分になってきた。そういうところで、次には生物を使った二次処理といわれているものが出てくる。そこではかなり有機物が落ちてくるということで、その時代はそれで良かった。
 ただ、今問題になるのは、下水道というものはもともと考え方が工学的な発想で来ているということです。ですから管を造って水をどっかへ排除する。例えば自分の家の玄関の前に落ち葉が落ちてくると、本当はできればサッサッサッと掃いて、隣の家の玄関の前に寄せちゃいたい(笑)。それで自分の所はいいわけですね。そういったものがある。それは何かっていうと、要するに排除の思想ですね。汚いものを生活する身の回りから排除さえすれば良いという考え方が基本的にはある。これは下水だけではなくて、河川も同じなんです。後程また機会があったらお話したいと思うのですけれども、河川も下水も降った水を町の中から外へ出す。これが排除ですね。ずうっとこの工学の世界では、工学の方もおられるのでしっぺ返しをくらうかもしれませんけれども(笑)、そういったものが百数十年間基本的な思想として来てるわけです。処理技術色んなものが発達してきましたよ、確かに。ですからリンも取れるようになりましたし、窒素も取れるようになりました。何も取れるようになりましたといいますけども、これは基本的に排除の思想であるということです。
 私がまだ若かりし頃、三十数年前ですけれども、下水道局の中にいまして、下水道普及率っていうのは科学的、技術的神話であるということを言ったら、上司からお前はいったいどの局の人間だと言われて物議をかもしたことがあるんです。その時に私が言いたかったのは、河と下水との関係が基本的に構築されてないっていうことでした。水を綺麗にして河に出す。出した先が実はコンクリートの河川である。そこには生物、生きものの観点が入っていない。生きものを使った下水処理をしていながら、生きものの観点が入っていないということ。
 今もそういった形でずうっと問題がある。最近ようやくそういった議論が認められてきまして、皆さん今回おっしゃったように生態的な、生化学的な側面からも追求しなくてはいけないんじゃないかというふうに言われてきています。あまりひとりで喋ってはいけませんけれど、例えばひとつの例を挙げますと、横浜の鶴見川というところがございます。ここは一級河川とは称しながら、実は河川としては大変小さい川なんですね。一日の固有水量、下水が出ないで川だけの水量ってのが、ほぼ20万トンから25万トン位しかない川なんです。そこへもってきまして、あそこに横浜市だけで中流域に三つの下水処理場がございます。今、都筑下水処理場っていうんですか、一番上の方から。それから港北下水処理場それから北部第一下水処理場。北部第一下水処理場っていうのは海の一番末端の所にあります。今言った三つの処理場の処理水の合計をみますと、計画水量として現在出されているのが、だいたい一日に65万トン。70万トン近いんですね。つまり固有水量の三倍の水が下水処理場から川へ出てるんです。そうすると下水処理場というのは、いずれにしても現在では処理の技術の限界がございます。後で話す機会があればデータを出しますけれども、非常にきれいな水で出されている時間帯と、どうしてもやむを得ずある程度の限界の範囲内でしか出せない。例えばBODが30ぐらい出ちゃうとか、20ぐらいでちゃうとか。きれいなときは2ppm出ますって話になりますけれども、トータルに考えてみるとせいぜい良くても平均して10ぐらい、あるいは15くらいになります。その水が、三倍もの水が出ると河川の水は元あった水よりもよくなくなる、汚くなるのは当然なんです。それが今悪いとは言いませんけれども、そういった問題があるので、基本的にはこれから下水道のシステムなり技術なりはもう少し視点を変えて、今変えつつ、変わりつつあると思っていますけれども、そういった点から見直していく必要があるかなと思っております。 一応、こんなところで。

一柳 はい、ありがとうございました。どなたでもいいです。これに関連してでも、角度が違ってもいいですから。どうでしょう。

風呂田 質問なんですけれども。下水道行政は私あまりよく分からないんですが、例えば国がやっているのか自治体がやっているのか。確か広域の場合には建設省の所管だと思ったんですけれど。そうすると実際、水の管理というものの中でも、そういう行政的なばらつきがあって、当然政策的なばらつきがあると思うんですけれども、その辺は今、現状としてどうなっているんでしょうか。

一柳 これは野村さんお願いします。

野村 下水道の仕組みからいいますと、下水道そのものが全て補助対象になるわけではないですね。国が補助する部分と自治体が単独でやる部分とがあります。それから自治体が単独でやる部分と、流域は県が頭になっていくつかの市を抱き込んで、ひとつの処理場に流し込んでいるという、つまり単独下水道と流域下水道。このふたつの事業があるわけです。
 横須賀市の場合は単独下水道でやっているわけですね。湘南地方の場合には相模川流域で相模川の左岸と右岸に処理場をひとつずつ造って、その流域を全部取り込んで、それはもうすべて処理場と幹線管渠あるいはポンプ場はすべて県がやる。それに各自治体が負担割合を決めて出している。後の面整備は自分たちの自治体がやる。こういうような性格の流域等があるわけですね。ですからその辺で、単独でやっている本市としては非常に厳しいわけです。例えば同じ規模の相模原、だいたい私共は43万の人口に対して、相模原はだいたい55万ぐらいの人口ですけれども、下水道に投入する予算の割合というのがだいぶ違ってきます。流域でやっている相模原そのものは処理場は市内には無いわけですね。一番下流の相模川の海岸の所にあるわけですから、そういう面で処理場の管理をすることは、お金を負担するだけで管理をしなくてよろしい。そういうことで非常に費用もかからない。その差が結構あるんだということです。その辺はいつも県に対しては我々の実状を申しているんですけれど、その辺の矛盾みたいなものは単独でやっている我々としては感じているところです。

鈴木 法律上でいいますと、基本的に下水道は地方自治体の固有事務でございます。ただ、今部長さんがおっしゃったのは、お金の流れがそういうふうになっているというところに大変難しいものがあるということになっているようですね。

一柳 風呂田さん、質問のその理由は。

風呂田 最後の方に絡んでくると思うんですけれども、その中のシステムの問題とそれから出てきた水の問題だと思うんです。特に後者で出てきた水をどうするかっていうのは、こういった沢山出すよりも小さくしてこまめにやるように考えた方が良いと。ケースパイケースで。そうすると将来的にはその小規模化、要するに各自治体の責任で行う方向に考えているのかどうかっていうことになってきます。その方が具体的には環境との絡みでは政策を立てやすいと思うんですけれども。

安田 ちょっといいですか、それに関連して。後で行政の方から説明していただきたいのですけれど、今風呂田さんが言ったようになっていない。逆なんですね。流域下水道が一番有利になる。というのは建設省の補助率が一番高いから。だから公共下水道は今おっしゃったように非常に難しい。それから下水道に関連するものとして農村集落下水道というものがございます。これは農林省が所管しているわけですね。それからさっき私が説明した合併処理浄化槽。これは厚生省の所管になっているわけですね。これをコスト分析してみますと、流域下水道が一番有利なように、つまり国としては流域下水道で基本的にはやるというような仕組みになっている。これは行政の方から説明していただいた方がいいと思うんですが。

一柳 スケールメリット論的な。

安田 そうです。基本的に。

一柳 じゃあ、野村さんいいですか。

野村 今のスケールメリットのことでいいんですか。

安田 そうですね。それと縦割り行政と言ったら変ですが。

野村 確かに今おっしゃるように、建設省と厚生省と農水省ですか。そういうような割り振りがあって、例えば下水道サイドでいけば農水省あるいは厚生省でやっている類似施設というものは、類似施設というふうに言っていますが、最近ではお互いが一体になってやるようにということでやってます。ですから都市によっては建設省からいただく、いわゆる公共下水道でやるのと、農業集落の関係で農水省の予算でやってもらってるのと、あるいは合併浄化槽を部分的には公共よりも合併浄化槽の方がいいっていうんで、厚生省の方から補助金をもらって合併でやっている。三つ巴でやっている都市もありますけれどもね。ですからその辺の割り振りがどうも、下水道が一本化していない、縦割れの矛盾さというのがあるという議論があります。現在、横須賀市の場合には一本でやってきていますけどもね。そういう都市をみると、どっちが得、どっちが良いかっていうのはなかなか分かりにくいところはまだありますけどもね。

高橋 今の議論なんですけれども、流域下水道が一番良いという。いわゆるコストの面だけからですよね。あるいは処理する便利性、コストにかかる維持管理の費用というような面からだけの比較であって、そこに本当に必要な環境の面を、どれだけ環境という点を比較の中に入れて考えているかですね。例えば流域下水道は水の流れで一番底に持ってくれば当然これ、集めるために一番金かからない方法ですけれども、その間の水が全部一番下流からしか流れなくて、その上流の川の水が無くなるんですね。そこにおける生物の問題もあるし、上であれば上から流れる間の水の自然浄化ということが期待できる。今、護岸がああいうふうになって自然の浄化力もなくなってきていますけれども、流れることによって水がきれいになる。流れることの快適性をそこに住んでいる人達が受け取るという観点を、まったくそれの比較に入れておられないんじゃないかというふうに思います。

一柳 鈴木さんが最初に言われたこともですね、川と下水道の関係で生物の関わりとかが全然入っていないと。それで、最初に指摘されたときに、お前はスパイか敵か(笑)というような指弾をされたというような話がありました。こういう言い方をすると語弊があるかもしれませんが、今までは行政サイドが効率的に下水道を普及させるために環境面を目をつぶってきちゃったというところがあるんではないかと思うんですが、そうだという意見が...。

高橋 その前にちょっとひとつOHPお願いします。

一柳 はい、どうぞ。

高橋 私、横須賀なもんで、横須賀にある川をちょっと書いてみたんです。右側が東京湾、左が相模湾。相模川側に逗子、葉山、横須賀ずうっと川があります。この数の多いこと。それから先程一柳さんから説明のありました観音崎よりもこちら側ですから、東京湾の外湾。こちらにもかなり川があります。ところが、この東京湾側。観音先からずぅっと上がって行って、名前が付いているのって言ったら田浦川、吾妻川それから鷹取川ですか。横須賀はこれだけなんです。ここに川が全くないということは何を表しているかと、ひとつの見方です。こちらは下水道が普及しております。こちらはここに西浄化センターが出来ますが、まだつなぎこみが行われておりませんので、相模湾側は下水道をやっておりません。ということで、この下水道の普及と関係があるんじゃないか。下水道が普及してくると、この川なんかも皆、下水になって地下に埋められちゃって、これだけあった、名前のあった川が無くなっていくんじゃないかと。先程の件にちょっと関連してこういうのを気づいたんですが。

一柳 基本的には生態とか河川、今の説明では河川なんですがね。横須賀の追浜とか下町、西浄化センターもそうですね。これはもう直接海に放流しているわけです。その環境に目をつぶって普及率を上げてきた。これは下水道100パーセントを目指して、それは政治的にも自民党から共産党まで反対しない、どんどん進めるべきだということでたぶん進めてきたでしょうが、これはやはり環境の方を、あえて言えば目をつぶってきた部分もあるんではないか。その辺について論議をしていただきたいんですが、いきなり野村さんにふるのがいいのか。あるいは鈴木さん何かございますか。

鈴木 先程申し上げましたように、評価っていうのは評価する歴史的時点が難しいと思っております。ですから、今一柳さんがおっしゃったように、ともかく下水道普及を快適生活目指して行けーっていうんで100パーセント目指したその時は、その評価を受けても良いと思うんですね。というのは、今この時点だからこそ気がつくという問題も沢山あると思うんです。例えばこれは全然話が違うんですけれども、他の色んな技術でも昔こんな生活していた、こんなことやっていたのか、考えられねえじゃねえかと。それは21世紀を迎える今の時点で評価するからそういうことになるんだろうな、という側面をおいておかなくてはならないと思っております。なおかつその上で、そういうことを承知した上で、これから先へ進む上では、こういう評価をするというような形でないと、多分論議は先へ進まないだろうなというふうに思っています。
 例えばですね、先程出ました流域下水道についても、コストの面からスケールメリットが出るとおっしゃいましたね。これごく一般論ですね。私に言わせるとこれはひとつの工学的な神話であろうというように思っています。実は流域下水道のコストは決して安くない。20年前に一番下に下水処理場がもう何十億ってかけて出来た。それで一番上の山の方では流域下水道の管が迎えに行くのに30年経ってもまだ来ないという。こういう悲惨な状況になりますので、スケールメリットから考えても、恐らく流域下水道というのは問題が多かろうかなと思います。この中で建設省関係の方おられたら勘弁して下さい(笑)。
 やはりシステムというのはあんまり巨大化すると逆にスケールメリットが出なくなるものだ。ですから集中分散との兼ね合いですか、それでもってシステムというのはどの程度の集中程度が良いかということを考えていく時代だろうなというふうに思っています。その点から、今のシステムを色々と考えていかなければならないわけですね。その上に更に生態的なものが新しく付加されてくるというふうに考えています。

一柳 実は質問が6、7通来てて、個別の課題が多いんですが、今のスケールメリット論に関係する質問もあります。そこで、ある質問の中にですね、これは野村さん、議会でやられた後またここでやられるのかという感じになると思いますが(笑)、例の小田和湾のアオサの大発生の問題に関するものがあります。これは一種スケールメリット論ですね。下浦という先程の地図に出ました東京湾外湾の横須賀市部分の水を、山を越えてポンプアップをして相模湾水系に流すということ。これら時点時点で考えると、当時はそういう発想に立ったんだろうけれどと、そういう質問も来ています。もっと具体的に細かい厳しい質問になっているんですが、あえてその程度にとどめさせていただいて、それらに関連して現役の野村部長にですね、反論がおありなら充分反論していただいていいんですが、ちょっと意見を述べていただきたいと思うんですが。

野村 下水道のいわゆる浄化センターをどの位の規模で決めていくかというのが、事業を計画するときの問題になるわけですよね。お隣にいる鈴木さんの横浜市なんかでは300万人以上の人口を抱えながら9カ所の浄化センターで処理している。川崎市は120万人位いるわけですけれども4カ所の処理場で処理をしている。本市は実は43万で4カ所の処理場を管理している。
 私も下水道のいわゆる責任者として、やはり財政というものに相当重点を置いて考えていることにしています。その中で今お話ししたように、川崎市と人口が3倍以上差があるのに、向こうは4カ所で私の方も4カ所である。議論になったのは西地区の処理場ですね。今、一柳さんが言いますように、北下浦側に1カ所造って、もう1カ所相模湾側の西地区に造って2カ所にしたらどうか。現在両方で人口が7万5千人いるわけですね。北下浦が約3万5千人で西の方が4万人でその両方をトータルして処理場を1カ所にしたら、それでもまだ規模としては小さい規模ですよね。でも、処理場っていうのは大きかろうが小さかろうが、かかる費用っていうのはほとんど変わらないわけです。管理費にしても光熱水費にしてもそう変わらないんです。ほとんど差は無い。
 それから、当時議会との話の中で一番議論になったのは、例えば7万5千人を、さっき風呂田さんもお話ししていた、もっと細かく分けたらどうかっていう議論があったわけなんですね。例えば千人規模の処理場に分散したらどうか。つまりコミュニティープラント、コミプラと言っていますけれども、そういうものを造るとですね、実は75カ所も造らないといけないんですよね。7万5千人の人口に対して75カ所の千人規模のものを造っていかなくてはいけない。これははたして可能かどうか。実は私は処理場だとかポンプ場の地元対応も全部やったわけですけども、あるポンプ場なんかの所は目の前に屎尿を集水するところが来るっていうのはとんでもないっていうんで反対されて、逆に公園の方側にポンプ施設を造って電気室をその所に造るというようなことで、その交渉だけでも3年かかったわけです。皆さんの所でも、目の前にそういう処理施設が来たときに、はたして分かりましたって言って、了解していただけるかどうかっていう問題もあります。
 そういうことで、分散するっていうのは都市の中で処理場を造っていく上で非常に難しい。それから効率的で無い。経営的にも難しい。やはりスケールメリットっていうものを相当考えていかないと難しいのかなというふうに思います。ちなみに単価のことでお話しいたしますと、下町処理場というのは30万人規模の処理場を考えてやってますけども、そこと追浜は約3万人ですから十分の一近くの処理場になっています。するとその追浜で発生する汚泥、つまり汚い汚れた水をきれいにすればするほどカスが出るわけですね。そのほとんどが屎尿なわけですけれども、それを脱水して焼却するまでの費用というのが追浜の方が3倍かかる。それでなおかつ委託する。つまり管理する単価もほとんど変わらない。非常に効率が悪い。そんなことで横浜市なんかは300万人以上の人口に対して九カ所でまかなってる。実は1カ所の処理場が一番小さいところでみると15万人位の規模、大きいと80万人位の規模の処理場でまかなっている。ですから私は本市だったらば理想的には2カ所位で処理場をまかなっていけたらば最高に良いかなと思っています。ただそのことをあまり強調しますと、一極集中で環境的には問題があるかなという部分があろうかと思いますけれども。スケールメリットのことに関して言えば、実際に実務に携わるとそういう問題に直面するということですね。

一柳 今、スケールメリット、スケールメリットっていう話が出てきて環境の話から離れているとお思いになる方もおられるかも分かりません。実はこのシンポジウムを開くときにどういうテーマで話をしていただこうかという洗い出しをしたときにですね、下水道というのはいわゆる下水道使用料で負担している部分と、税金を使っている部分。この大きく分けてふたつ。どっちみち財布は我々なんですね。その財布から金を出している人が自分達の下水道がどうなっているかっていうのは当然知らなければいけないんじゃないかという話しも出ました。これも色んな仕組みだとかありまして、1時間半そこそこのシンポジウムで下水道と財政のことをやるとちょっと混乱するんではないかということで、今回のところは財政問題には入らないということでご理解いただきたいと思います。スケールメリット論という、大きいことにメリットがあるということ。この後も話してもらいたいと思いますが、財政の問題ではこの程度にしておきたいというふうに思います。
 そこでまた元に戻ってですね、今までの流れの中でひとつ整理をさせていただきます。この頃そういった宣伝をしていなかったかもしれませんが、昔、味噌汁一杯浄化するのにお風呂の水何杯というような宣伝がありましたね。あれは実は単なる希釈論でありまして、川に流したり海に流したりすると生物浄化というのが必ずありますから、あの話はナンセンスだということで、もうほとんどの行政はああいう宣伝はしていない筈です。それらを含めてですね、放流した所の環境を考えてどの位の規模にすべきか。むしろそこからの発想が今まであまりにも無かったんではないかと思います。確かに財政的な問題でこの位の規模にした方が良い、野村部長が言われるように横須賀市の下浦と西部地区にですね、75カ所の下水処理場を造った方がいいかということになれば、それは誰しも、仮に家の側に下水処理場を造っても良いよという人が圧倒的に多くてもですね、それはちょっと違う論理じゃないかなということはあると思うんです。
 一方で川や海から見た、今までは陸からみた下水道だったんですが、逆に川や海から見た下水道という視点ではどうなんだろう。それから質問の中にも全パネリストに伺いたいということで、合流式下水道が悪いのは分かっていると、どのような戦略でそれを改善していくのかという質問が水谷さんという方から参っております。個別な質問がまだあるんですが、一応これ全パネリストに伺いたいということで共通のテーマになると思います。海や川から見た視点と、今後どう改善していくのかというところでちょっと論議をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。どなたからでも。

風呂田 その合流式が良いかというのはさておいといて、海から見た、生活排水、産業排水のことは別にしますけれども、要するに東京湾から見た下水道を考えてみます。基本的に海岸、特に干潟とかそういうところは色んなものが上から流れ込んできて、それをうまく使うように出来ている生態系なんですね。ですからある程度陸からの栄養が流れてこないと生物生産は下がっていくわけです。その適当量を判断するのは非常に難しいのですけれども、やはり基本的にその生物を育てるにふさわしい量のものを流してやるということも政策上必要になってくる。
 それが下水にしても、極端な場合いうと、処理しないでせいぜい曝気位して酸素だけ与えて放り込んでおいた方が生物にとっても有効に使えるケースが当然あります。例えば、今、行徳の野鳥の保護区の中で棚田的につくった水の中に生活排水の無処理水をそのまま放り込んでいます。そこに曝気を与えて、だいたい小さな田んぼ二、三枚通すとその中には魚も住めばヤゴも住めるというような非常にきれいな水に変わっていくわけです。
 干潟にとってもそれはいえるわけで、谷津干潟のこともありますけれど、昔、谷津干潟は生活排水が沢山流れ込んできた。ゴカイも沢山いて多少臭かったことはあったんですけれども、ところがそれも止まってくると、確かに臭いは減ったんですが、どうもゴカイが減ってきているようだと。それはやはり生活系から来る栄養物が不足してきたんじゃないかってことが考えられます。
 ですから、それぞれのところである程度生活排水を資源として使うってことも必要になってくるだろう。何でもかんでも出来るだけ栄養分を減らしてきれいにさえしてやることが良いんだと、要するに東京湾の水を沖縄のような透明度の高い水に変えることが政策上いいんじゃなくて、東京湾はプランクトンがある程度湧いて、それがうまく使われている方が良いんだということです。
 そういう視点での有効利用というんですか、処理の仕方っていうのもケースバイケースで考えなきゃいけないし、その量もまた考えなきゃいけない。ですから、できるだけ細分化、コストパフォーマンス、極端に言った場合には無理かもしれませんけれども、ある程度の負担で済むのであればそういった視点で政策的な立案を計るってことが必要になってくるんじゃないかなと思います。

一柳 他にどなたかありましたら。

鈴木 合流式、分流式含めまして私の私見で申しますけれども、今、大勢は分流式でなければならないというふうな方向に行っているようですが。確かに分流式は合流式に比べて良い点は沢山あります。それは認めます。ただ、分流式がすべて良いとは言い切れない。というのは、分流式っていうのは家庭から出てくる汚水だけを処理します。皆さんの家から出てくるですね。ところが汚濁源というのはノンポイントソースといいまして、あらゆる所に存在しているわけです。ですから分流式の雨水がきれいなわけないんですよ。もともと、特に都市の問題と農村の問題、質が違いますけれども、いずれにしても雨水は、特に初期雨水はきれいではないんです。その点を抜かして分流式がいい、分流式がいいっていうことは、ちょっとというか、かなり危険だなと思います。
 今は雨水についても当然そういった反省が出ていますから、下水道技術者の間では初期降雨の雨水を処理するべきだと、そういう施設を造る方向に行ってますけれどもね。そういうところも少しずつ広げていかないと議論というものは一点集中主義になって危ないなという感じがいたします。
 それは受ける方の海から見れば、当然そうですよね。ノンポイントソースというのは実に沢山ありまして、意外とその汚濁負荷は大きいと思います。ですからそういったものが当然これから改善されてきて欲しいと思います。
 それからもうひとつ今、スケールメリットうんぬんという話がでました。あるいは高橋さんが示していただいた図はすばらしい図で、私はちょっと別の面でのデータを今日持ってきてるんですけれども、河川の枝、小川が無くなっているということ、これが非常に大きな問題です。環境浄化の問題、あるいは生態学的な問題からいっても非常に大きな問題になると思います。それは同時に海でいえば、先程から出ています東京湾の埋立の図にあったように、干潟が無くなっていること、藻場が無くなっていること。これによる環境の改善能力というのがどれだけ落ちているかっていうのもずっとお話に出てきたんで分かると思いますが、その辺が大きな問題になると思います。 私はスケールメリットっていうのは、これは後でむしろ安田先生に注釈を加えていただいた方がいいかと思うんですけれとも、経済学的にスケールメリットっていうのは単に量と量の計算だけでいいのかなと。つまり処理下水量と、それから単価でこうなるとスケールメリットはこうなりますっていうのじゃなくて、私は下水処理場がどういう規模でどういうように造られているのかっていうのは、その地域状況に合わせて環境コストを計算して出すべきではないかなというふうに考えています。それは理屈では、言うだけはやさしいことです。実際にやるのは大変難しい話なんですけれども、そういう基本的な観念が欲しいなと思っています。

一柳 おっしゃる通りだと思います。実は西部下水処理計画をつくるとき、議会からこういう意見も出ました。ところが私も議会にいて分かるのですが、議員にはほとんどスタッフがおりません。市長にはですね、下水道部というセクションがあって、それは全部市長の知恵袋になって、議会で質問すれば市長の答弁書をつつがないように夜遅くまでかかってつくったりするわけです。対する議員はほとんどスタッフを持ってませんから、付け焼き刃というか、ある学者にこう聞いてみようとか、その程度で終わってしまう。今のような論議はなかなか議会では深まらない。今回企画したのもですね、市民の皆さんにも関係者の皆さんにも、こういう状況であると。それを本来ならば両方がものすごく勉強をしてですね、安田さんなり、高橋さんなり、風呂田さん達のような人達が議会側とか議員側にスタッフについて、それをまたOBであった鈴木さんのような人達に応援をしてもらいながら、反論とかこうしたら良いのではないかという異論を出していかなければいけない。そういう議論がなかなかできてないんですね。これは下水道だけではなくて、その議論があらゆる所で不足しているからなかなか結論が見出せない。やった後、ああしまったというケースがずいぶんあると思うんです。その辺も考慮に入れながら、環境面から考えていけば良いんだということです。
 今は海の話が中心になっていましたんで、川の方から見た、先程下水道が普及すれば川が雨水幹線になってしまうのではないかというような、そして小川が持つ機能とかが失われて単なる雨水排水管になってしまうんではないかということ。それらを含めて高橋さんから話をしていただきたいと思います。そしてその後に風呂田さんに下水道の問題だけでなくて、そういう浅場だとか藻場の機能を考えなかったこれまでの行政を含めてですね、また述べていただければと思うんですが、とりあえず高橋さんからお願いします。

高橋 その前に先程の合流式から分流式というところで、私レジメ書いていたんですが、その中にちょっと間違いがございましたので訂正をさせていただきます。プログラムにある私のところで、三番、合流式から分流式その頭にですね「横須賀市の下水道のほとんどは合流式である」と書きましたけれども、自分の周り、下町処理場の現状を見てほとんどと書いちゃったんですが、横須賀市では現在、面積で合流式は18パーセント、人口比で25パーセントということをご指摘を受けましたので、ほとんどというのを、これ消して下さい。申し訳ございませんでした。
 OHPでご説明いたします。横須賀市の西地区に浄化センターが出来ましたが、まだ本体だけでそこにつなぎこむ排水管がありません。これは武の付近なんですけれども、これも川で言ったら武川になるんですが、これが流れて行って、西浄化センターの前に流れ込む川の上流部です。ここ丁度滝になってまして、非常に良いんですけれども、その流れ落ちてきた水がこういうふうに泡立っています。だからこの辺は早く管線を造ってつなぎ込まないと、川としてはきれいにならない。
 もうひとつ私が指摘しておいたのは、市街化調整区域には、この公共下水道の幹線が行きませんので、その部分に対しては合併処理浄化槽のようなものを造って近くの河川に流さないといけません。川の上流域を歩いて行きますと、こういう所が沢山あります。幸いなことに水は汚れておりますけれども、横須賀の中央部の山から川に流れる間っていうのはそんなに距離がありませんので、流れ込む間に非常にどこででも酸素リッチになっています。溶存酸素が結構多いです。だから水が汚れていても割合生物がつきます。魚も泳いでいます。ここではないんですけれども、もうちょっと場所が変わると鮎なんかも遡上しております。横須賀は非常にそういう面から言ったら自然がまだ残っているんですが、こういうところはまずこの下水道幹線につないで、排水は排水として、それでこの川には本来の水だけが残る形にもっていくことが望ましいと思います。先程言いましたように結構流れに勾配がありますので、ところどころにこうやって堰があるんですが、堰の流れ落ちるところがこんな状態です。
 これもやはり竹川です。洗剤が多分多いんだと思いますが、こういうふうに泡立っております。見方を変えれば、水の中の汚れが泡となって大気の方に行って、これが集まってスカムとして、水はこれで曝気されてきれいになっているということも言えるんですけれども、こういうところも早くつながれることを希望いたします。こんなところにもあります。
 これは134号線の前耕地橋の所です。我々はここを歩くときいつもこんな状態です。この画にはありませんけれど、この少し上流側、こんなところにも鯉が沢山泳いでいます。横須賀の汚れた川は非常に鯉が沢山おります。これは良いことに思われますけれども、関心を向かせるためには良いことなんですけれども、その辺におります生物なんでもみんな鯉は食べてしまいますので、雑食性の鯉というのはあまり繁殖させてはいけないのではないかと思います。
 文句ばっかりは言っていないで、これはこの間出来ました西浄化センターです。野村さんに代わってご説明しておきます(笑)。下水道デーというのが9月10日なんです。毎年9月10日が下水道デーです。それの一番近くということで、今年は9月13日が下水道デーで下水道フェアでした。西部地区に西浄化センターが出来たのに併せてここでやっておりました。中央に流れ落ちている水、これは浄化センターで処理した水を流しているところです。こういうきれいなのが出来まして、これから横須賀の西地区の水はたいへんきれいになると思います。現時点では残念ながらこの建物のすぐ裏に松越川という川があります。ここに竹川が合流しておりまして、ここの水質が県下でワーストワンという報告が昨年出ております。残念なことですけれども。これもこの浄化センターが出来れば、今年度、ですから報告としては来年度は良くなるであろうと。大丈夫ですね野村さん(笑)。と、思います。
 先程の件に直接は関係ないでしょうけども、関連した話をちょっとOHPで映させていただきました。

一柳 今、横須賀の話が出たところで、とりわけ小さな河川ですが、沢山西部地区には河川が流れている。そういう川をどうしていくのか。西浄化センターがどんどんどんどんこの管をつないで行けばどうなるかという心配が個別の問題ではあると思うんです。先程からのトータルの論議で言っても、時点時点で視点を変えるということ。トータルの環境面から見てこれから下水道を考えなければいけないだろうというのが今日、この壇上に上がっている人の、あるいは参加者の方の共通な認識であろうと思うんですが、その辺について野村さんの方からお話をいただければと思います。

野村 本市は、先程も高橋さんの方から話が図面でありましたけれども、全部で23水系、37河川あるわけですね。大小合わせて37河川。平作川が横須賀では有名ですけれども、あれは県が管理しています。その他の河川では鷹取川と平作川を県で、後は私共の市が管理しています。準用河川も9河川ありますし、そういう河川が下水道をやることによってどうなんだというお話ですけれど、これはもう私共の方としてはすべてそのまま残しておくというようなことを考えています。ただ、さっきも高橋さんの方からありましたけれど、維持流量、つまり下水道に取り込んでしまうと河川の水が少なくなるんじゃないか、そのために河川として水無し川、つまり雨が降らない限りは水がからからになってしまうような河川もなきにしもあらず。ただ、たまたま横須賀市の場合は非常に河川は短いですけども、上流端が比較的森林で囲まれているという、そういうようなところは残しておきたい。しかしながら、鷹取川の場合には上流端は団地になってますから、雨が降らなくなると完全に水無し川になってしまう。ですから、そういうところはいずれは処理水を上まであげて水を流すというようなことも行く行くは考えなきゃいかんなとも思います。
 比較的本市の場合には川を残しておくと、こういうことで行政としてはやっていきたい。最近では、先程もちょっとお話ししましたけれども、我々の事業の中で下水道そのものが普及していくことによって、そういう川がなくなってきてしまわないように、できるだけ川を残して、今度は逆にポンプで処理水をもう一度使って色んな形に変えていくということも考えていきたいというふうに思っています。

一柳 それでは今度は海の方でどうしようかという考えを含めて、この辺を安田さん、風呂田さんに今後の改良に向けて現時点での見直しという点から、次にどうしていったらいいかといったことをお話願いたいと思います。

安田 海から見た何ですか。

一柳 環境を評価した下水道というかね。

安田 はい。じゃあ、それも含めてさっきの議論を整理してみると、合流式と分流式と考えた場合、やはり僕は分流式の方が良いと思うんですね。環境への負荷は。雨水をそのまま川に流しちゃうのか、それともある程度雨水を処理してやるかっていうのは、その環境への負荷とか、川のある程度維持水量を保持すると、そういう問題から考えるべきだと思うんです。今までのような合流式ですと、川の水も雨水もいっしょに処理しなればならないから処理量も非常に多くなってしまう。これはコスト的にも、コストベネフィット的にもあまり良くない。
 それから下水道の役割分担としては、私が前、「浄化槽研究」という雑誌で発表したんですが、やっぱり集中地区ですね、人口集中、市街地。これはやはり現実には終末処理としては下水道でやらざるを得ない。それから農村地域、ここにやはり農村集落下水道を入れていく。これは巨大な合併処理浄化槽みたいなもんですが。それからさっき高橋さんから指摘がありましたように市街化調整区域はなるべく単独浄化槽は禁止して合併処理浄化槽にして行くべきだろうと思います。そうしないと生活排水が、合成洗剤のようなものがほとんど垂れ流しで出ていってしまいますので、そういう必要がある。それからもっと、横須賀とか大都市の場合、下水道普及率が高まってきたからいいんですが、地方はまだ下水道が普及していないんですね。計画はあるわけです。その間に汚れちゃうって問題がありまして、実は私達が計算したんですが、下水道計画があるところでも下水道が造られるまで三年以上あるところは、合併処理浄化槽を整備すべきである。そうしないと、その間にどんどん汚染が進行しちゃうわけですね。今までは下水道計画があるってことでせいぜい単独浄化槽しか造んなかったわけなんですよね。ですからその間、生活排水が全部垂れ流しの状態で、霞ヶ浦なんか特にそうなんですが、霞ヶ浦の汚染をCODでみますと六割が生活排水なんです。ということでですね、これに対してもっと行政が積極的な補助対策をやって行くべきだと、こういうふうに思います。これは霞ヶ浦でも我々提案したんですが、東京湾も一種の閉鎖性水域ですからね、かなりそういうやりかたでやって行く必要があるだろうと。
 海から考えた場合ですね、先程私のプレ講演のときにお話ししましたが、基本的に終末処理だけで環境を改善するってやり方は、私は間違っていると思います。全部流しちゃって末端で処理すると、これはゴミ問題なんか考えても同じなんです。やはり、基本的に発生源でなるべく負荷をかけない。それから、できたら排水を出したら出したところで、そういう意味では合併処理浄化槽みたいなものが一番良いわけですが、そこで一回処理して、処理水を場合によっては河川に流して持っていく。そういう、発生源対策ですね。
 そうするとやはりもっと根本的には私達の生活のあり方ですね。非常に便利な生活で、合成洗剤、お風呂もじゃんじゃん使って、そして油なんかもどんどん流してしまっている。これ閉鎖性水域では、霞ヶ浦とか琵琶湖は富栄養化が深刻になって、霞ヶ浦は今、死の湖寸前になっておりますので、富栄養化防止条例をつくっても、それで改善されないわけですね。ですからやはり東京湾に関しても二次処理では窒素、リンは出ていっちゃうわけですから、やはり私はいくらかお金がかかっても終末処理としては三次処理をやる必要があるし、発生源での対策、例えばリン等の入った洗剤等の禁止とか、本当は合成洗剤を禁止すべきだと思うんです。何かそういう我々の生活、それから産業構造ですね、こういう今までの産業構造、生活様式で良いのかどうか、基本的にはやっぱり私達の産業構造、生活様式を循環型に変えていかない限り、私は本当の意味での東京湾の水質っていうのは改善できないんじゃないかと、そういうふうに考えています。ただ、これなかなか理想論というかですね、現実から見るとかけ離れた距離にありますので、当面は終末処理での一番いい方法、その環境への負荷を含めたコストエフェクティブですが、そういうもので対応していかなければいけないと。そのためには役割分担とか建前論だけで、下水道計画があるから下水道だけで待っていればいいというような、そしてトイレだけ単独浄化槽でやっちゃうということでは駄目だと、こういうふうに感じています。

一柳 資料に用語集が付いていますが、今ですね用語集にない、例えば三次処理だとか合併浄化槽とか単独浄化槽という言葉が出たのですが、ちょっと分かんないっていう方がいましたら手を挙げていただければ。分かるっていうんなら説明する時間がもったいないですから進めます。ほとんどお分かりということなんで、そのまま流して進めさせていただきます。
 確かに今、私も聞いていて理想論はそう簡単に行かないと、多分ここの壇上に生きている、我々が生きているうちには安田さんの提起したところまで行かないと思うんですが(笑)。でも、ともかく今を何とかして改善したいという時点時点での見直しというところで、風呂田さんから具体的にはこういうふうに、海から見ているとこういうふうにした方が良いんではないかと、これならちょっと行政や政治の方が視点を変えれば良くなっていくんではないか。そういうところがありましたらお願いします。

風呂田 基本的には東京湾全体の環境をどうするかってことにかかってくるわけですけれども、私の話の中でも一柳さんの話の中でも酸素不足というのが非常に生物の生息を限定している、それが起こると毎年のように生物が死んで、東京湾の環境を維持できないっていう話をさせてもらってんですけれども、例えば東京湾全体の当面の目標としてはですね、東京湾の中で酸素欠乏による生物の斃死というのが起こらない状況にしないといけないだろう。それを考えれば、基本的には話の中にあったようにふたつで、浄化力を高めるか、あるいは排水を減らすかということしかない。
 下水道の責任としてはその排水を減らす側の技術的なプロセスですので、そっちの責任になるだろうと思います。簡単な試算でしたけども、シュミレーションしてみますと、だいたい現状のリンの排出量の半分位にすればそれは達成可能ではないかという見積もりもあります。それが合っているかというのはまだ検証しなければいけない難しい問題ですけれども。そうしますと技術的にそれを達成することが可能かどうかという議論を多分出来るんじゃないかと思います。それをやるのは、はっきりいってかなり大変かとは思いますが、その時にどの位のコストがかかるのかと、じゃあそのコストがかかるときには実際そのために結局は税金、あるいは下水を使った人達の負担になりますから、それだけのコストを要求しなければいけないわけです。そしたら次に東京湾の回復のために皆払う気はあるんですかという議論に多分なると思います。恐らくこの状態で行けばそこまでして払いたくはないという方が大勢をしめて、結果的には何も解決しないんではないかというふうに思うこともあります。それは何故かってことも考えなくてはいけないんですが、これ別に東京湾だけの問題ではなくて、日本の環境問題全体がそうかもしれませんけど、環境をどうしようかという時に住民的な意識というのがまだはっきりいって低いだろうと思います。要するに過去にですね、下水の汚い水は垂れ流せば当面は解決できたというお話もさっきいただきました。けれども、まだその段階から大きく進展しているわけでは無い。要するに自分達の責任で環境をこれからどう維持して行って次の世代に引き渡すかっていう責任をもった対応というところまでなかなか行っていない。
 下水道ひとつ考えても多分そのやり方で同じだと思うんですが、今だかつてその下水道の中でですね、例えばもっと環境問題について色んな意見を聞いて自分達の下水道をつくってみたいとか、あるいは自分達の排水がどういうようになっているかというようなものを住民側に説明する機会っていうのが無かったんじゃないか。どっちかというとデータすら公開しないという。横須賀市の場合はどうか分かりませんけれど、例えば東京湾の流域下水道からどれだけのものがあるかというのは、なかなか調べられないんですね。要するにデータ公開してくれない。最終的には知らずべからずというのがまだ行政の中にあって、じゃあ住民側としてもそれについて責任を持とうということ、あるいは持ってほしいという方まで、政策的な進展がなかったんじゃないかと思います。基本的に考えればそういうデータ公開ということと、環境に対する住民の意識の高揚ということに、やはり下水道関係者もこれから責任を持っていかなければいけない。そうすると例えば、地域で環境を良くするための下水道のあり方となると、これは必然的に環境コストを地域の人に負担してもらわなくてはいけないということになりますから、ある程度環境に対して責任を持てる地域集団というのは限定されて来るだろう。そうするとそのシステム全体はどうしても広域化よりも小規模化せざるを得ないだろうし、それによって自分達の出した排水が環境とどういう関係があるのか、あるいは逆にその排水が出るんだったら、その排水を環境としてどういうふうにうまく利用できるのか、あるいは処理できるのかということを、一緒になって考えるような住民参加型の下水道のあり方というのも根本的にやって行かないと、何時までたってもこの議論はどうどうめぐりで終わるんじゃないかと思います。
 要するに色々なことをやればお金がかかることは分かっています。環境を良くすればその分だけコストがかかります。ということはそのコストを負担できるような社会的気運をつくる。そのためには行政側の方の情報公開を含めた積極的な住民参加を求める姿勢が必要なんじゃないかというふうに思います。

一柳 今、情報公開という言葉が二、三度出ましたけれども、これは私の方から後でコメントを述べたいと思います。横浜市も横須賀市も名称は公文書公開条例、あるいはダイレクトに情報公開条例といっているところもあります。鈴木さん、野村さんに伺いたいのですが、横須賀市や横浜市の場合は、例えば住民であれ、学者でありそういう情報公開請求が出てきた場合、公開するのか、その辺をお聞きしたいのですが。

鈴木 当然、皆さんが必要とする資料の質によると思います。我々はその条例の範囲で出さざるを得ないんで、と思いますけれど。例えば下水道の水質に関してはこれはもう全面に近いほど、横浜市の場合には公開されていると思います。ただ、まだ手を付けていない新しい問題の物質については出ていないと思いますけれど、通常の下水処理の量とか水質っていうのは公開されていると思います。それは皆さんいつでも要求すれば多分入手が可能だと思っています。ただ、建設コストがいくらとか、という話になると、これはちよっとまた、話が、部署が違うとか色んな絡みがありますので出てない部分もかなりあろうとは思っています。

野村 私共の方でも毎年、水質年報というのを出してまして、これは一年間のトータルした排水の状態、環境基準、CODとかBODとかSSとか、あるいは窒素、リン、あるいは有害物質。そういうものの測定値をですね、一年間トータルして、それをきちっと製本して各方面にオープンに公開しているということでございます。
 それから我々の方も三年に一回ずつ使用料の値上げをお願いしているわけですけれども、来年は何とか値上げをしないでしのげるようにということで頑張っているわけですけれども、その使用料の値上げの時には今までいくらお金がかかって、どういうふうな経営状態で、どういうふうになってきてるかという、その辺の詳細はすべて議会にも出来るだけの資料は出してきたつもりです。そういうことで行かないと、なかなか理解が得られませんから、それは今後も続けて行きたいなと思っています。

一柳 今、風呂田さんの言われたのは、横浜市と横須賀市はそういうことで、ほとんど隠していることはないですよということなんですが、千葉の場合はその辺も還付されていないという。

風呂田 多分東京も下水道関係っていうデータはそれほど整理されていないと思います。もうひとつ大事なのは先程のスライドの中で見せていただいたんですが、雨が降ったときにですね、これは特に合流式で起こるかもしれませんけど、いっぺんに許容量を超えてしまって生水が出てくると。実は生水だけではなくて底に溜まっている汚泥まで出てくるわけですね。ですからその時には浄化槽は非常にきれいなっているわけですよ。要するに本来自分達が回収しなければいけないものも、イベント的にいっぺんに環境の方に放出されてしまう。そういうときのデータの方がむしろ重要度が高いんじゃないかと思います。ですから、本当だったらとっているデータを出すと同時に、どういうデータのとり方をしているのか、それに対して、環境に対して関心のある住民にしても、研究者にしてもこういうとり方でないとそのデータの信頼性が無いという評価がつけられないと、根本的な公開とは言えないんじゃないか。ですから本当に今一番重要なのは日常的な安定した状態での排出の中の濃度ということと、トータルな排水量ということと、それからもしも何か起こったときに、実際それぞれのイベントでどれだけのものが実際環境中に出されたのか。そういう見積もりまでもやる必要がなければ、本当の意味での情報公開にならないんじゃないかというふうに思います。

一柳 この点で言えばですね、県民性の違いとか、県の風土の違いとか私はこの数年感じているのは事実です。実はこの東京湾イベントのシンポジウムが今年で五回目なんですが、毎年一都二県の自治体に後援をお願いしてるんですが、千葉関係だけが今まで一回も後援してくれない(笑)。これは不思議なほどですね。今年は事務局から聞くと一度は後援を検討すると言ったらしいんですけれど、やっぱりやめたと言う返事で、一番ひどかったのは風呂田さんが三番瀬で反対してるから後援できないという(笑)ひどい返事がございました。やっぱりこれは県民の方々が政治家を使うとかですね、そういう努力をしていただくしかないなと思うんです。
 もうひとつ東京都ですね。これは2、3年前、議会で私が資料請求したと思うんですが、東京湾岸の都市の合流式の面積と合流式で暮らしている人の人口を各都市毎に調べてくれないかということを横須賀市の下水道部に頼んだときに、担当課長がそれなりの苦労をして調べてデータを持ってきていただいたんでが、東京都と千葉の出し方っていうのが一番不親切でしたね。横浜市は例えば合流式の面積の中に125万人、39パーセント住んでますよ。川崎市は54万6千人、47パーセント人が住んでますよ。横須賀市は先程出ましたように、10万7千人で25パーセント。東京都と千葉ではいくらの人口がその合流式に住んでるかって出さないんですね。これはやっぱり東京都議会議員とか千葉県議会とか千葉市の市議会議員とかですね、そういう人達がチェック能力を発揮するしかないだろうと思いますし、総じて言えば、民主主義の習熟度っていうことで言えば、都民なり、千葉県民なり、千葉市民なりがこのとこを突くしかないと思うんで、その辺は神奈川に住んで私は今良かったなと少しは思ってます。風呂田さんには引き続いて頑張っていただきたいなというふうに思っています。
 情報公開とかはその辺にしたいと思うんですが、今、もうひとつ住民参加という言葉が風呂田さんから出ました。私もこの住民参加ということを求めてきているひとりで、そして今、横須賀では審議会の公募制なんていうのも二年程前から行いだしまして、その住民参加の量的な面は保証されつつある、行ってると思うんです。ただ色々な、下水道の審議会とか、あるいは検討委員会みたいなのは、公開のものはございませんから、そういうところに公募するっていうのは下水道に関しては無いんですが、環境問題とかゴミ問題等でみてますと、まだそれは質の面で保証されてはいないんではないか。これは下水道だけでなくて環境を語るときに、議会の例でも、これはまだまだまったく不足している部分が多いのです。その住民参加という場合、例えばこういう場面で住民参加をするときに、政治に携わっているものは来年4月25日に選挙があるなんていうと、あんまり市民に対して厳しいことは言えなくなるんですけれども(笑)、その辺でですね、住民側も意識変革をして、こういうものの改善を求めなければならないんではないか。という点があります。これは行政の方から言ってもらうのはおかしいと思うので、住民運動と関わってられる高橋さんの方から、住民参加を求めるならこういう方向で行ったらいいんではないか、というような意見をお持ちならばちょっとお聞かせ願いたいと思います。

高橋 今、一柳さんの話にありましたように横須賀はだいぶ住民参加の窓口は広がってきております。ただ、その場合の住民側にまだまだ問題があるんじゃないかと思うんですね。まず情報公開も非常に進んでいますけれども、公開された情報を求めて、自分の情報にするっていうのは住民側に責任があるわけですね。それがひとつと、やっぱり参加する以上はあるレベルの勉強しないといかんなと。ひとりで出来なければそういう仲間と一緒に勉強して、それで初めて土俵に上がる。私はやりますよって手を挙げたけれども、単に一市民として私は主婦です、主婦の立場からと。確かにそれも必要なんですけれども、やはり問題を環境に絞れば環境についてはもうちょっと勉強して、それから土俵に上がって役所の方との話し合いの場を持つと。
 それともうひとつはやっぱり、これは住民側はみんなそうなんですけれども、意見を出し合うと、出し合った意見が自分と同じでないと駄目だと、嫌だと、お話しするのは嫌だと、私はあの人についていけないと。やはり相手を理解して違いを知るということ。それは大事じゃないかと思うんですね。必ず話し合ったらひとつの意見に持っていかなければいかんということはないと思うんです。十人十色ですのでそんなにひとつの意見にまとまることもないんで、やはり色々な意見がある。その中からやはり、今度はいくつもある意見を市にぶつけたときに、市の側がそれをどう評価するかと、私が言ったのを取り上げてくれない、市は駄目だと。こんなに十人いて色んなこと出たのに十人が全部市がやってくれるはずないんですよね。それはやっぱり相手の立場も考えなければいかんと。
 役所の肩持つわけじゃないですけれども、やはりその取り上げられる率を大きくするためには、やはり相手の立場も考えて、自分らのレベルも上げて、そっからやっぱり話し合いの場を持っていくということが必要じゃないかと思います。

一柳 はい。ということで情報公開とか住民参加は今日のテーマではありませんので、この辺にしたいと思います。

鈴木 今、その住民参加の件で高橋さんがせっかくそこまでおっしゃっていただいたんで、こちらからもちょっとお答えしておかなくてはならないんじゃないかと思います。行政の方がですね、住民の参加に対する用心深さを持っているというんですか、非常に勇気がいるんですね。ですから勇気を持って行政の方も住民と一緒にやるんだっていう姿勢を見せて、しかもそれがどこからでもいいからやらなくちゃいかんということが大事だと思うんですよ。ところが従来どうしても突っつかれる一方でございますんで、こちらは何とか探していただかない方がありがたいな(笑)、という感じでやってしまうんですけれども。ですから今、河川行政が変わりましたよね。明らかに。あれはやはり、明らかに変わったけれども、完全にあれでいいかと私自身まだ疑問があるんですけれども、国自体も河川行政を変えてきましたから。それから環境問題についてもかなり皆さんが参加をしていただけると。その参加の場を提供する勇気が我々の方にも出てきたということを申し上げたいと思います。

風呂田 環境問題にしても住民参加にしてもやっぱり失敗がいっぱいあると思うんですよね。これは今まで私達がやったようなことがない事をやっと始めたばっかりですから、ある意味じゃ試行錯誤、あるいは経験を積んでそれを代々色んな人に伝えていくということから始まっているわけです。例えば下水道と環境との関係についても住民参加のあり方についても多分まだまだうまくいかない面のほうが多いと思う。それはやっぱりやっていきながら、失敗を経験してみんなでまた次の新しいステップを上がって行くという、経験を積み重ねる段階にまだあるんだということです。
 ですから行政の方もですね、一回や二回失敗したからといって、もうそれは駄目なんだっていうことはやらないし、それから住民の方もやっぱり行政は駄目だったっていうあきらめたり、あるいは住民間の中での話し合いがうまくいかないからって諦めたりしないで、要するに20年から30年かけて次の世代でうまくいけばいいんだという位の長いスパンで考えないと、本当の意味での積み重ねにならないんじゃないか。ですから速効性は無いということをやっぱりお互いの共通の理解にしておかないといけないんじゃないかと思います。

一柳 色々といい意見が出ました。横須賀の場合はですね、住民公募をした審議会とか、何々委員会という場合には、原則全部公開されてますから、民主主義が成熟していくと、例えばその住民公募の委員に対して、傍聴者からリコールが出る場合も今後あるんではないかと思います。観念的な事ばかり言っているとか、感情的な話ばかりしているとかいうことになればですね。
 それにもうひとつは、私も傍聴へ行って気がついているんですが、やっぱり高橋さんが言われるように、住民参加する側が組織だって行かないといけない。自分達は行政を経営している株主なわけですからね、強大なるお上に対してか弱い庶民がもの申すという場と捉えている方もまだ消費税率以上におられるように感じています。そうするとやっぱり高橋さんが言われたように、議会側もスタッフが必要なように、やっぱり市民の方にもやっぱり必要だと思うんですね。
 それで私、議員をやってて感じるんですが、役人に対して意見や文句を言う市民は非常に多いですけれども、お前議員は何をやっとるんだと、議員は何をやっている、ここを変えろという人は、家に帰ると言うのかもわかんないんですけれども、ほとんど言って来ないですね。それだけ議会というのが軽んじられてるのかなと、議員というのが軽んじられている。本来地方議会っていうのは国会と違って行政に対するチェック機能というのがまず第一の仕事だと思います。今の制度でもそれをやろうとしたら相当できるはずなんですが、住民代表で出していただいたはずなのに住民の方が議員の使い方をまだあんまり習熟されていないんではないかと感じるところもあります。これは誰が良いとか悪いとかじゃなくて、行政があって、議会があって、そして市長をトップとしてつくる行政の組長を直接選挙するのもそこの住民で有権者ですし、議員を選ぶのもその方ですから、三者がやっぱり一緒になってレベルアップするということが、下水道に限らずその町の政治に必要なんではないかと。それが実現すれば、自分の言ったことが実現したとか、我々の仲間とやったことが実現したと、まさに横須賀の市長が言っている住んでみたい町とか、住み続けたい町になるんではないかというふうに思います。
 もう一回下水道の方に話を戻します。今、色々出てきてますけれども、じゃあ改善に向けてですね、行政的、政治的に、あるいは公共事業をどうしていったらいいのか。今までの50年間でずっと人口も増えてきた。敗戦の時に7千万人台であった人口が1億2千5百万人に達していると。しかしこれは今、頭打ちで下がっている。こういうような状況で、今の財政問題を含んでもいいんですが、公共事業の見直しをこうすべきではないかとか、あるいは海域とか河川の改善ですね。下水道も相当改善しなければいけませんが、今までの話を聞いてて感じるのは、トータルでその環境をどう改善していくのか、再生していくのかという視点だと思うんですね。トータルの視点でその順序を考えて、どう改善して行くべきなのか。今回問題が多いのはわかった。ただこのまま帰ると、家帰って何か今日大変だっていうことだけ分かって、どうすりゃいいかわかんないっていう寝られない人も出てくるかと思いますので、これはどなたからでも結構ですから、こうしてったらどうか、逆にこうしてったらどうでしょうかねっていうような問いかけがございましたらお願いします。

安田 最終的にはですね、僕は環境に値段を付けるということが一番大事で、そしてその値段を付けることによって、きちんと利益を受ける人が、その費用を負担する。それから、汚染する人がちゃんとコストを負担する。それにつきると思うんですね。例えば水道水がまずくなってきたからこのミネラルウォーターを飲むようになってきたわけですね。これ、水の原価でいくと千倍するわけです。水道水の。だから自己防衛としてはこれ買うわけですよね。それよりも水道水を水質改善して飲んだ方がはるかに社会システム全体としては安いんですね。ところが、その水道水の改善の方に行かないわけですね。ここに一番大きい問題がある。ですから水道水を改善する。その方が水道水の改善の費用がかかるわけで、それを水道水にオンさせる。それでもミネラルウォーター飲むより安いですよ。日本も砂漠地帯のようにガソリンとたいして変わらなくなっちゃったわけですよね、水が。今1リットルいくら。90円位でしょ。

一柳 はい、ガソリンは。

安田 変わりなくなっちゃった、水と。

高橋 水の方が高いですよ。

安田 水の方が高い位になっちゃった。ですから値段が高いんだと、環境のコストを含めた。僕は住民の意識なんて期待していません。はっきり言って無駄であると、日本人に対して。すぐ日本人ていうのは行政とか誰かのせいにして依存したりしちゃいますから。自分の懐にかかってくればやっと動くんですよね、人間て。それでもまだ動かないだけれども。
 この容器の問題、私今ゴミ問題やっているから、この容器の問題もういっこ説明しますと、日本で容器包装リサイクル法というのが去年から出来たんですが、これ欠陥法なの、はっきり言って。フランスとかドイツの真似したの。ドイツは企業、メーカーの責任で、責任というか費用負担を全部100パーセントメーカーが負担して、これを回収してリサイクルしなさいといっている。ところが日本の場合はこの回収の費用の7割が自治体の負担なんですね。再資源化の3割しか企業が負担しない。我々はドイツ方式でやれって言っていたんだけれど出来ない。これは何故そこまで出来なかったかというと、やっぱり力関係なんですね。だから日本人が僕は愚かとしか言いようがない。僕を含めてですね。結局そういう選択をしちゃっているわけですよね。ですから、ポイントはですね、私は勿論情報公開とか住民の意識の向上っていうのは建前的に重要だと思うんですが、本音で議論するとですね、やっぱりきちんと環境のコストを、環境に価格をつけるということ。これ市場経済では出来ないですね。市場経済では酸素の値段なんてただなんですよ。これにやっぱり値段をつけて、それから便利さ、利益を受ける人は費用を負担する。そういう仕組みを社会としてちゃんとつくらない限り、意識は向上しない。意識っていうものがモラルだとすると、モラルと社会システムこれ両方。これ社会システムをつくらないとモラルが動いて行かないんですよ。ですからそういう意味では、行政の役割、それから行政に対して、さっき一柳さんが言われた議会、そこがもっと政策提言をしていく。議員が何やっているのだか僕はわからないのだけれど、そう言っちゃ悪いけど(笑)。住民もそう、最終的には僕は住民だと、市民だと思うのですね。それを許してしまう。結局、結果的には選択しちゃってるわけですね。この水の問題でも容器の問題でも。

一柳 要するに、それはゴミを例にとった方が非常に分かりやすいと思うんですけれどもね。そうすると結論的に環境に負荷のかかるものを使うとコストがかかるんだよ。お前さん損するんだよというのは、結論的に政治的に法体系を議員立法すべきだと。省庁間協議なんかしてたらまとまらないと思うんでね。議員立法すべきだと、私も容器包装リサイクル法の経過みて思ったんですが、これまず、政党とか国会、国会議員がもっと数段ましにならないと駄目ですね。

安田 そうですね。そういうような国会議員を選ぶということ以前に選挙に行かないんだもんね、みんな。まず選挙に行って、ベストなんてないんだから、そん中でベターを、絶えずベターを選んでいくという仕組みを選挙でやる。それから色んな住民から行政に提案していく。僕ら議員立法で出したの、これ全部デポジットで回収しろと。審議対象にもなんなかったんですよね。最初出したらもうそこで自民党から反対がバーンてあってね。

一柳 あの、自民党も社会党の後追っかけて...。

安田 自民党、社会党だけじやなくてね。つくば市の審議会でやったんですよ。それでゴミ処理容器を有料化しようって出したんですよ、そしたらある政党の人がね、普段は良いこと言っているんですけれども、有料化は絶対反対だってことになっちゃうわけですよ。

一柳 逆に言えばね、今選挙に行くダイナミズムがないというのは明確な選択肢が無いからですよ。皆、消費税は抑えるとか言いながら、福祉ちゃんとやりますとかね。そんなの出来るわけない。ちょっと考えると出来るわけないっていう、調子のいいことしか言わない。逆にゴミで言えばペットボトル製造メーカーから多額な政治献金受けてる方は絶対そんな法案づくりがいるなんて言わないと思うんですが、我々選挙民からみれば、そういう明確な、俺は絶対やだと言う人と俺はやるべきだという選択肢があった方が、ゴミ一点とってみても、じゃあゴミ一点だけで投票してみようとか、そういうパフォーマンスの仕方も、これは政治家の方が先出してね...。

安田 だから政治家の方が先に出してないからね。行政含めてね。

一柳 話がゴミの方に行っちゃいましたけれども、これは風呂田さん、四半世紀以上東京湾をどう良くしようかとかって考えている中でですね、最終的には全員のパネリストの方に伺いたいんですが、行政的とか政治的な順位、その辺をちょっと風呂田さんからどう考えるか。

風呂田 何か質問の意味がよくわからないんだけれども。

一柳 例えばね、東京湾を良くすると、水に親しめる場所をつくるというところも含めてね、公共事業の見直しとか、それをどういう優先順位をつけて改革をしていくべきだろうかとかいうところで、話を最初に戻して。

風呂田 基本的にはやっぱり今までの国、国っていうか日本全体の見いだし方のつけみたいなものが、ここまで出てきちゃったんじゃないかと思うんです。 例えば下水道にしても興味ないわけですよ、はっきり言えば。住人の方なんてのは要するに自分の前から水洗便所で流れてくれれば後はどうしようと構わない。何とかしてくれるんじゃないかと思ってるんですよ。
 それは何故かっていうと、下水道っていうのはお上が造ってくれて、それを利用するから。逆に言えば出来るだけ安い方がいいんだという発想でしかないんじゃないかという。自分達の問題として下水道のことを考えたことがない。それは、今までお上というのがある意味じゃ既得権みたいにしてですね、多分色んな下水道工事の中では今までの日本の悪しき慣例みたいなお金の動きも多分あったんじゃないかと思います。ですから、やっぱりそれぞれの行政の中に、まだ自分達でやってやって、自分達の主導権でこれからもやるんだという意識が強いように思います。ですから、基本的に考えればそういう問題を含めて、自分達に選択肢を渡すと。そのためには住民参加で色々な経験を積んでいかないといけないんですが、最終的にはこの問題も、下水道問題も同じように、自分達の責任の中で何が出来るかっていうことを住民の責任として考えるというところまで持っていくようなやり方をしないといけないだろうと思います。要するにこれは先程言った情報公開の問題と、それから住民参加の問題に関わってくるだろう。
 それからもうひとつ、例えば環境なら環境情報に対するですね、色んな情報の提供の仕方は日本という国っていうか、行政はほとんどやってないですね。最たるものは、例えば生物学者を全然養成しない。東京湾の問題で色々とこうやって喋るのを本当に研究しているのは数人しかいません。何故かっていうと、それしかやれないっていうか、誰もサポートしてくれないわけですよ。研究費も出なければ、そういう設備も無い。はっきり言えば、東京湾の環境研究をしている専門的な研究機関はゼロです。要するにそういう行政的なサポートが無いという現状でやっているところです。ゼロって言うと怒られるかもしれませんけれど、水産だとか、それから水質は検査しているかもしれませんけれど、機能的なものを計るって人は全然いないわけです。ですから、トータルでそういう環境情報を精算するときに、まず行政はサポートしていない。それから色々なデータを取ってはいるんです。例えば環境アセスメント等に関して膨大な資料があります。ですからそれはふたつの問題点があって、ひとつはそのデータの精度が問題。それはやり方の問題とかやる人の姿勢の問題。それからやらせる人の姿勢の問題がある。それからもうひとつは基本的に今の状態では非公開になっている。そういったものを社会的資産として使う気運がないんですね。ですからまずそういったものを行政の中では住民にどうしたら提供できるか、提供のためにはどういうデータが必要なのか。そのためにはどういう人材を養成したらいいのかとか、いうところにもっと長期的な展望を立てなければいけないだろう。
 これは別に国だけの問題じゃなくて、各地方自治体の中でも当然そういう問題は出てくるだろうと思います。ですからもうちょっと環境問題について住民も発言しないといけない、と同時に行政の中でもそれがちゃんと分かるような人を養成するという姿勢をもっと持って欲しい。その中で具体的な問題、例えば下水道の問題については、そういう人を交えながらですね、色んな選択肢を出して、選択的な最後の決定というのは住民と行政の方で責任を持ってやれるようなパートナーシップっていうんでしょうかね。そういうことが出来るようなことを考えなければいけない。単純に東京湾問題ですとか、下水道問題ではなくて、極端に言えば日本の民主主義をこれからどう運営していくのかという問題にかかっているだろう。そのときに具体的なテーマとしてはやっぱり環境問題、あるいは下水道問題というのが一番身近な問題だろうと思います。ですから、こういった問題にこれからどうやって取り組んで、どうやって解決していくかってことで、極端に言えば日本の将来がだんだん見えちゃうんじゃないか。これでもう駄目だったら、やっぱり駄目なんだろうと、そういう気がいたします。

高橋 私のレジメに書いたので、私からどうっていうのは書いたことを読んでいただければ分かるんですけれども、これに対して野村さんからちょっと横須賀はどうなってんだっていうのをお聞きしたいんですが。
 二番目のレジメに書いた、市街化調整区域で合併処理浄化槽の整備、単独浄化槽は禁止するとか、現在ある単独浄化槽を合併処理浄化槽に変更するにあたって、市が強制的な指導を行ってまでやるということをやってらっしゃるかどうか。
 もうひとつは四番に書きました。下水処理場、最後で消毒しますよね。日本の下水道基準というか技術指針でいきますと、これ全部塩素でやれっていうことになっていますけれども、今度の西浄化センターは、あれは許可取るんですか。特に紫外線殺菌やってます。塩素でやると有機塩素化合物の発生とか残留塩素によって周りの環境への問題が残りますので、それがこの紫外線を使うことによって、それがなくなると。ちょっとコストがかかるらしいいんですけれども、他の横須賀に三つの浄化センターありますけども、そちらもそういうように変えていく計画があるのかどうか。その二点をちょっとお聞きしたいのですが。

野村 まず最初に公共事業のあり方ということで、下水道そのものを考えてみますと、やっぱり国のつくった政策に合わせて各自治体がそれに動いていく。ですから、国がこれだけの予算規模で、これだけのことをやっていこうという指針をつくるわけですよね。それに合わせて各自治体は予算配分をいかに色をつけていくか、ですからその都市についてはですね、国があげているものに対して多少なり抵抗しながら新しいものに改善を計っていく。そういう勇気が必要になってくるわけです。
 例えば今、話が前後しますけれども、西の方に紫外線滅菌を採用していきたいと言います。すると国からは非常に強い、何て言うんですかね、抑制策があったわけなんですね。何故かというと、今までは次亜塩素酸で、塩素でいわゆる滅菌をして大腸菌を殺して放流していました。そうすると残留塩素の問題でトリハロメタンの問題等があるんで、西については小田和湾という閉鎖性水域の中に放流するということで、それを何とか紫外線に切り替えていきたい。ところがそれを認めるとなかなか国としても困ると言いますかね、今までやって来た政策の中での問題がありますけども、それを我々は強力にお願いをして、ようやくこの紫外線滅菌というものを認めていただいた。これはやっぱり各自治体の勇気みたいなものが強く働かないと、なかなか変わっていかない部分があるわけです。最近では建設省そのものが、そういうことに非常に前向きに取り組んでくれるようになりましたので、これについては紫外線でほとんど滅菌することができた。これはまさに全国でも、私共の方ともう一市ありますけれども、そこだけがやっていると、こういう状況です。

高橋 あの、日本で30カ所やってます。

野村 いや、あの、大きな所ですね。私の方は。

高橋 大きな所では。(笑)

野村 あとの施設をどうするかということですけれども、これを紫外線に変えるということになると、中身の変更もしていかなくてはいけない。つまり、施設そのものを改善していかなくてはいけないですから、これはまたいずれ、三つの処理場でも時間をとらえて、また改築するときに考えていかないといかんかなというふうに思っています。いずれはそういう時代になるかと思います。
 それから、市街化調整区域の問題ですけども、本市の場合にはだいたい43万都市のうちで、1万2千人位が市街化調整区域に住んでられる。このうちの7割から8割位は市街化区域に隣接して住んでられる。こういうところはですね、やっぱり費用対効果でいきますと、むしろ公共下水道につないだ方がいいだろうと。そういうところは、出来るだけ今回のいわゆる下水道の変更の中で、計画に取り込んで下水道に持っていこうと。ただ、一軒がぽつんとあってそこまで延々と管を延ばして行くというのは、これはもう不経済ですから、そういう所は合併浄化槽でいこうと。合併浄化槽は実はこれ、私の担当じゃなくて、今日は前の客席におりますけれど環境部の担当になるわけです。この辺のところは単独浄化槽じゃなくて、できるだけ合併浄化槽で指導していこうと、そういった気運があります。行く行くは合併浄化槽になっていくと思いますけれども、そういう仕分けをしながら、環境部と私共の方で調整を計ってやっていこうということでございます。

高橋 市街化調整区域に家を建てるときは、今、単独でも許可になるわけでしょ。

客席(横須賀市環境部長) 単独浄化槽の設置で建築許可がでます。

高橋 今の市はそうですよね。その辺を規制するという動きはないんですか。フロアに聞いちゃったけど。(笑)

客席(横須賀市環境部長) 現在、横須賀市としては単独浄化槽を規制することはしていません。

野村 ちょうど切り替え時ですからね。

高橋 ありがとうございました。

一柳 会場から質問はとらないけど答弁はとるというシンポジウムになりましたけれども。(笑)じゃあ鈴木さん。

鈴木 下水道これからどうするかということで、特に海の方から見て、海との関係でということで、色んなこと、皆さんがおっしゃったことに私はすべて賛成なんですが、その中でもうひとつ付け加えたいことは、下水道システムもきちっとした環境アセスメントの対象にせよということなんです。つまり、放流基準に適合した処理水質だからよいというだけでなく、環境への影響をしっかり考えた環境アセスメント、環境影響評価の対象にせよということです。一部なっているかもしれません。ところが、下水道を造る人達に言わせると、汚れた水をきれいにして出すのに何故アセスが必要なんだと、こういう論があるわけです。これを私は勇気を持って環境サイドも働きかけるべきであろうし、下水道サイドも受けて立って、造るときだけの問題じゃなくて、放流した先にどういう影響を与えているか、将来に渡ってどういう影響を与えていくかということが、やっぱりアセスの対象として自分達自らが取り組む姿勢が必要だろうと思います。これはひとつの制度論と技術論両方ありますけれど、だからそれはですね、先程からいくつか話がありましたけれど、行政は一旦決めた方針を変えるのにはまず、例がない位変えないですね。ですから滅菌の件みますと、塩素滅菌の変わりに紫外線滅菌認めちゃいますと、塩素滅菌が悪かったということを認めることになるんですね。はっきり言いますと。それで国は嫌がるんですよ。そういったところを思い切って勇気を出して変えて欲しいというふうに、今、現役はずれてますから勝手なこと言いますけれど。(笑)

風呂田 その場合の環境アセスっていうのは、要するに計画アセスかそれとも事後アセスか。普通ですと決めてから一応やるだけの...。

一柳 事後アセス。

鈴木 事後アセスも含めて。

風呂田 いや、ですから場合によってはその計画の変更、あるいは中止もありうるといった状況でやるということですか。

鈴木 そうです、はい。そういう勇気を持っていくべきだろうと思います。それからもうひとつ、費用の関係でいいますと、これ「学」の責任、学会の「学」の方の責任をもっと追求したいと思うんですが。先程、安田さんがおっしゃったように三年あって、三年後にはまだ出来ないと、それなら合併浄化槽を使うべきだとおっしゃるのは、私、賛成ですけれども、そのときに、この方が環境のトータルの費用として安くなるんだぞということを「学」の方がデータをもって示してほしい。

安田 それは僕、あの...。

鈴木 いや、いいんですが。多分、もっと学会で発表されていると思うんですが、ごく普通の人はまったく知らない。

安田 一般的にね。

鈴木 それをもっと広くしてほしいという、そういう意味です。出してほしいというのは。そうでないと、いわゆる学者先生の言うことは分かるわと、だけど結局何も根がねえじゃないかといった話になってきそうな気がします。我々も色々な論文発表しています。けれども、そういった形で批判受けることもありますので、その辺が必要だなということです。それからもうひとつですね、こういう機会でいうと問題が生じるかもしれませんが、言いたいんですけれども、どうして建設にはお金が出て、管理にお金が出ないんですか。

高橋 そう、おっしゃる通り。

鈴木 ここは恐らく経済のからくりが何かしらあると思います。つまり、正直言いますと、建設コストと管理コストは桁が違うんですね。ですから、その辺のからくりがあると思うんですけれども、やはりどうしても管理に対する費用のかけ方っていうのは、もっとこう、我々もやらなくちゃいけないし、それから、この下水道、あるいは環境問題に携わっている運動家なり、学者の方も大いにその辺はやっていかなくちゃならないかなと、この二点だけ申し上げます。

一柳 今日予定していた討議は、行ったり来たりの部分もありましたけれども、だいたい出たかなと思います。それから質問もですね、今、塩井の方に集計をしてもらいました。個別課題も結構あって、パネリストの方々には別にこちらから意図的に聞かなかったんですが、トータル的にだいたいは出たんではないかなということです。ゴミの本を読んだけど安田先生に聞きたいっていうのもありましたけれど、ゴミの話も出ました。
 さらに個別な質問があるという方は、後の懇親会に行って、この問題どうなってんだよと言って、つかまえてもらったほうがいいかと思いますので、そろそろまとめに入りたいと思います。今、鈴木さんから指摘されたような問題、もう一回安田さんに返されたような感じですので、何かあれば。

安田 さっきのちょっと補足になりますが、環境に対するコストが内部化されてないわけですよね。だから、率直に言って下水道料金が安すぎる。第二点はそれを一般会計というか、税金でやるから皆、負担者意識が出てこないわけですよね。だから僕もまだ細かく調べてないんですが、きちんと環境のコストを内部化した下水道料金にして、それを下水道料金を使う受益者から、本当は量だけじゃなくて、質に応じて費用を負担する。そういうことをしない限り、やっぱり根本的な解決にはなっていかない。残念ながら日本人の意識とか社会システムがそこまでまだ成熟していない。それをどういう形でそういう方向へ持っていくのか、そのためには、やっぱりこういうシンポジウムといった形で問題点を明らかにしていくということが非常に重要だと思いますね。

一柳 今のお話聞いていると、本来は株主が色んな形で支払っているところに、その使用負担というのを明確に、逆に行政の方が出してないということですね。

安田 出してない。

一柳 そういう制度になっちゃってる。

安田 はい。

一柳 だから、それが伏魔殿になっていると、そういうことになると思います。で、私は今日コーディネーターという立場で色々お話を聞いててですね、いくつかこの辺が糸口かなっていうのを感じました。
 ひとつは、来年の通常国会に地方分権に関する関連法令の改正が500だか600あるといいますが、今の話で、例えば野村部長が最終的な滅菌を塩素から紫外線に変えるっていうことも、実は建設省はそんなことやってもらっちゃ困るということだけど、横須賀市がやりたいということで、環境に負荷をかけない、小田和湾という相模湾で有効な入り江に負担をかけないというところで認めたと。これら色んな問題で、国の関与が強すぎるんではないかと。先程テーマに出た水域毎とか海域毎に自治体がですね、環境基準を設定する。それは自主努力で、例えば下水道放流のCODなんてのは、国の基準でやっている自治体なんてどこにもないですよね。国の基準でやったら海や川はめちゃくちゃになってしまいますから。だからその辺のこういう問題も含めて地方分権にすべきだと。そうなると今度は規制値をどの位にするかっていう議会の方も責任を持っていかなければならない。今までであれば建設省だとか、国会議員の仕事だって言っていた部分が自分達の責任になりますから、地方分権をこういう意味も含めて考えるということ。
 それから今、塩井さんと話していたんですが、単独浄化槽を強制的に止めさせるってことが、今の制度の中で条例が出来るか、上位法の関係で無理だと...。

安田 いや、出来ますよ。

一柳 出来るんですか。

安田 霞ヶ浦が今年からやったからね。県の条例で。

一柳 無理でないならば、やはりそういうところも、議員や、やっぱり市民がですね、認識して、住民の方がそういう条例制定したらどうかという働きかけ、直接請求なり請願でもいいと思うんですが、やるとか、色んなパターンがあると思いますね。
 ひとつには地方分権というか、権限をどんどんこっちから獲得するという意欲を持つことではないか。もうひとつはやっぱり、その行く先が、単に数字をいじってですね、この数字がこれだけ良くなったとか、自分の血圧がこれだけ下がってうれしいなというようなもんではなくて、冒頭スライドを見ていただいたように、冬の海の色を夏に取り戻すとかですね。それで、例えば浅場を戻したり、水質を良くするということが、今まで経験的に見れば、水を汚して大量に発生するアオサなんていうのはほとんど食べられませんけれども、ある程度の環境にして、ノリがつくれる海面が増えたりすれば、浅草ノリが美味しく食べられるというようなところで、もっと身近になるほど、夏気持ちよく泳げるとかですね、美味しいものがもっと気楽に安く食べられるとかね、そういう分かりやすい提示をして、ここの目標に進むにはこうやると楽しくなる。というような提起も必要かなというふうに思います。
 川でいえば、西浄化センター造っても相模湾水系を守っていくという部長の答弁もありましたけれども、答弁なんて言っちゃいけないな(笑)、回答がありましたから、そういうところで、やっぱりそこの人達が、流域の人達が川を愛するとかですね、川ざらいするとか、掃除するっていうんならそこへ協力するとか、色んな関わり合いの中で愛着を持つ人が増えていかないと、愛着を持てば日常関心にもなるでしょうしね。それから高橋さんなんかがおやりになっている、下水道部に提言して鮎が上れるようにってですか、そういうような提言をして、それをやったら実際に鮎が上るようになったというような成果を上げてますから、そういう自分達の町は自分達で良くするとか、自分達の川とか自分達の海を良くするには、やっぱり基本的には住民ひとりひとりのマインドだという当たり前な議決になっちゃったような気がしますけれども、その仕掛けをどうつくるかというのも、議員や議会の仕事でしょうし、それからやっぱり、色々話を聞いてて国会議員にかなりしっかりしてもらわないと駄目だなと思いました。だからこういう場に国会議員も出てくるとかですね、あるいは三年後、野村部長に気楽な立場になってもう一回出ていただくとかですね、色んな形で考えながらやってみたいというふうに思います。
 今日は第一部の方で15分ほど短く終わりましたんで、第二部の方も本来は4時半までには終わろうということで進めさせていただきました。

高橋 ひとつだけ質問いいですか。一柳さんの今ので、冬の海の色を取り戻そうって言ったでしょ。生物の豊かな海で、夏でああいうこと出来るんですか。

一柳 私、少なくとも48年の人生上ね、10歳前後までは船を出して潜りに行くと、夏でもあの水の色は今より数倍見えましたよね。

風呂田 一柳さんのお話だと、横須賀の人の海を見る目と、それから船橋という東京湾の奥の人の海を見る目と、ちょっと違うと思いますね。東京湾のあんな奥の方でですね、きれいな海があったら困るんですよ。要するに餌が無くなっちゃうから。というのは、基本的に東京湾の奥部っていうのは、プランクトンが餌になって、生態系があるわけです。横須賀の場合岩礁もありますし、まだきれいな海で、海藻が主体になって動く生態系があるんです。それはやっぱり地域差がある。それはやっぱり水質の問題とか、下水道の使い方の問題、あるいは処理水の利用の仕方の問題、全部違ってくる。さっきの話もあったように、それはやっぱりローカリティがあって構わない。だから横須賀と東京湾の奥の船橋では対策が違うって事も当然考えておかないといけないと思います。

一柳 そうですね。前に東京湾総集編という番組を風呂田さんともうひとりの須賀次郎さん(水中カメラマン)と三人でつくったとき、館山と観音崎と三番瀬というところを撮りました。水の色が青、グリーン、茶色になるというね、まったく違う水の色なわけですけれども、トータルに見ながらその地域の生い立ちとか流れですね。それは見ないといけないと思います。
 あくまで私が言ったのは横須賀でずっと暮らしていた人間のサイドから、かつて私が子供の頃経験してて、そこには豊富な生きものがいて遊べた海だと。あの海の色が夏でも今の数倍あったと。それはやっぱり濁っていた時もありましたけれども、怖いくらい透けて、10メートル、15メートル下の見えたという。船で、櫓船を漕いで行ったときにという経験もありますから、そういう意味で言いました。
 ということで、16時20分になりましたので、一応シンポジウムを閉じさせていただきます。今日はこういう難しい課題でどの位集まっていただけるか不安な部分もありましたけれども、横須賀市以外の方にも来ていただきましてありがとうございます。ちょっと話がかったるいかなという部分もあったと思うのですが、実はこれは身近な環境を良くするために、やっぱりこういう問題も常日頃考えなくてはいけない。それと、これを一年に一回のお祭りにしてはいけなくて、今シンポジウムの中でも出てきたように、行政、議会、そして住民という、この三者一体で継続的に取り組む、そのような任意団体も出てきてますけれども、その辺で論議を積み重ねて行ければと思います。
 また、東京湾海洋研究会のシンポジウムは一都二県持ち回りでやろうと言っていますから、必ずしも次回横須賀でこの下水道をターゲットにする機会があるかどうかわかりませんけれども、お互い今日参加した皆さんにお願いしたいのは、日々こういう良好な環境を取り戻そうという意識の中で色々知恵を働かせ、工夫をしていきたいというふうに思います。午後1時5分からの午後4時20分までお付き合いいただきありがとうございます。皆さんと一緒にさらに環境を良くしていきたいと思います。じゃあこれでシンポジウムを閉じさせていただきます。
 ありがとうございました。


事前に寄せられた質問・意見

 下水道処理水は窒素やリンは処理されずに流されているようですが、この影響は東京湾にないのか。
 下水道処理水の中に微生物で処理することの出来ない化学物質に外因性内分泌撹乱科学物質(環境ホルモン)があるが、生物の調査など東京湾で行っているのか。現状を知りたい。

横浜市/環境保全活動団体会員

 下水処理関係の仕事をしている方は、油等を流しても「それだけの雑排水を処理できる能力がある」と言います。本当にそれが正しいとすると、毎日少しでも汚さない水を流そうという人たちは「とても無駄なことをしているのではないか?」と疑問を感じると思います。私たちが使った後の水に対して、どのように考えたらよいか、鈴木さんや安田先生の講演をとても楽しみにしています。

藤沢市/会社員

 下水道は自治体毎に小さいものを作るのがいい。大きくなればなる程、金がかかりその上川に水がなくなる。千葉県が計画している流域下水道は即、中止すること。

千葉県/環境保全活動団体会員

 下水道が沿岸の都市に出来、以前の浄化槽的東京湾に較べはるかに水はきれいになった。しかし、相変わらず、雨が多く降りすぐ気温が高くなる夏前から盛夏にかけては激しい赤潮が発生する。
 これは下水処理した水に多量の窒素・燐が含まれて居て食塩濃度が下がった状態で珪藻類を爆発的に増殖させるのではないだろうか。
 若し、私の想像が当たって居るとすれば、東京湾に投入される下水処理水は千葉県、東京都、神奈川県を合はせ何屯位になるか。この中に含まれるものは何(BOD、COD、N、Pその他)が何パーセント位あるのか。そして湾口を出る時までに如何程消費されて居るのか。
 この消費されたもので増殖した珪藻類は何屯位発生し、これにより生ずるヘドロは何屯位になるのか。
 東京湾は千葉側から東京は極めて浅く(10〜20m)神奈川県側は深い(30〜70m)、又潮の流れも千葉側から東京を通り、神奈川県側から出て行くと聞いて居り(本当かどうか確かな事は知らない)、これを考へれば潮の流れも千葉側は速く、神奈川県側は遅くなる。従ってヘドロも神奈川県側に多く沈殿する事になるのではなからうか。
 以上全て私の想像で全く間違って居るのであればお許し戴き度い。
 東京湾について詳しく知らないのですから疑問、質問は沢山あります。但し、議論は出来る限り定量的に行うべきで、もはや定性的な感情的な議論をして居る段階ではないと存じます。
 アジ、サバの如く外から来るものは別ですが、私の感じではカレイ、アイナメの様な底魚は極めて少なくなって居り、5月頃の30〜40mの海底では此の数年釣針の糸に「ねばねばしたもの」が付いて来て魚が殆ど釣れない場所がある様思へ、海の底で何かが起きて居ると感じて居ります。
 私のそれこそ感情的な議論では仕方がありませんので、ぜひ、権威ある年間の底引き網の神奈川県側漁獲高を魚種別に経年変化を示して頂き、お前の言って居る事は間違っているとお示し頂きたい。
 何を議論するにしても同一の認識を持った上でなければ実りある議論をする事は出来ません。
 どうぞ、今東京湾で何が起きて居り、それがどの様に進んで居るのか、私達が現状を充分把握出来る様な御説明を頂き、その上で更なる議論を進めて頂き度いと思います。

横浜市/会社員


シンポジウム当日の質問票

1 現在下水道のない所は合併浄化槽の方が金額的にもよいが、下水道法で(都市化されている所は)それが認められてないと聞いた。法律改正の動きは?
2 処理場を東京湾近くでなくて、それぞれの自治体が小さな処理場をもち、川に流すのがいい。(風呂田さんの意見賛成)
 これは下水道ではないが、先日、江戸川放水路が大雨でいちどに開けられたため、(三番瀬で)アサリ、シオフキ、マテガイが大量に死滅した。少しづつ流すのがいい。三次処理をしなくてもいい。

千葉県/環境保全活動団体会員

 安田先生の本は「ゴミ」について読ませて頂きました。下水道問題も(さきほどの講演でもありましたように)社会問題である。ということは下水処理(という技術に)呼びかける前に(or後に)呼びかけなければならない所があるとすればどこだとお考えになりますか?

藤沢市/会社員

風呂田先生へ質問。
1 東京湾岸の自然海岸と人工海岸の長さの比率と自然海岸の入岸可能の数値の最新情報を。なお、東京湾岸の範囲を。
2 湾への流入量(排水量、下水処理水を含めて河川水の量)については細かくチェックされているが、外海水の流入量についてはどの程度把握されているのでせうか。また、外海水が内湾の浄化にどの位関与しているのでしょうか。

無記名

 野村富久様へ質問します。横須賀の下水道事業者として、これから何をするのか?将来ビジョンと具体的事業をお聞かせ下さい。
 西部地区下水処理場の小田和湾への影響を地元漁師は大変に心配しています。この不安に対しどの様に答えますか?

横浜市/公務員

風呂田先生へ
 藻類の異常増殖⇒干潟によるアサリ等による除去⇒食料に、というシナリオを考えているようだが、Virusなどの衛生問題はクリアーできるのか?環境ホルモンなどの微量有害物質対策はOKか。
 東京湾の中央に人工島を作り、干潟を増やす構想を土木学会が言っているが、どう思うか。

安田先生へ
 下水の高度処理あるいは三次処理を行って、N、Pを除去しても、あるいは発生源で排出抑制しても、農地から川を通じて大量の栄養塩が入ってくるので、やはりダメではではないか。アメリカあたりでは、排水などの湾外(海洋)放流を行っている事例があるがどう思うか。

全パネラーに  合流式下水道の改善はどのような戦略で行うのか。分流式にしても、その雨水もそれほどきれいではないと思うがどうだろうか。

横浜市/技術士

 海と排水源になっている汚水処理場(下水処理場)をつなぐのが川だと思うのですが、川の浄化機能回復のための手段をうつことが、下水処理問題のひとつの緩和剤になるように思うのですが、いかがでしょう。たとえば、海にいたるまでの流路を長く、さらに曲線にし、流速をゆるやかにするとともに、浄化機能をはたす植物なりバクテリアなり、プランクトンの生息の場をつくり出すといったように。
 また、同様な理由で、海岸線を人工的な構造物をとりのぞく形にできないでしょうか。

東京都/会社員


シンポジウム参加者の感想

 この間の祝日に、目黒川にスカムが浮いているのを偶然発見し、気になったところで、このシンポを知り出かけてきた。
 入門者の私にもわかりやすい内容であった。
 パネリストもおのおのに個性があり、discussionになっていたと思う。(もっと活発であればさらによかったが)
 それにしても、安田先生がおっしゃるように、日本はメーカーの力が強すぎて、ゆがんだ構造になってしまっている。

東京都/公務員

 環境サイドの人が多すぎ、また批判家、評論家的立場に終始している。また固定観念にとらわれている。環境サイドの人も自分が当事者となったらどうなのか考える必要がある。
 また、パネラーの専門分野が片寄っている。もう少し衛生方面の専門家、土木工学の専門家なども加えるべきである。
 議論はフィーリングだけでなく、定量的に行うべきだ。  自然浄化でとれるのはBOD等だが、特にリンなどは十分とれないのではないか?またVirusも。
 パネラーに対する質問を認めないのは、やや非民主的な運営ではないか。
 今日のパネルは、東京湾と下水道がテーマのはずだが、その議論はあまりに少なかったのではないか。

横浜市/技術士

 合併浄化槽の普及はどの程度か。
 農家の畜産などの汚水の処理を考えて頂きたい。
 東京湾の魚は安全なのか。環境ホルモンの影響が出ているといっていましたが、詳しい研究をもっとする必要があるのではないか。
 江戸時代の海の状態は?この時代の循環型で見習う所があるのではないか。
 下水道処理で化学薬品の除去も出来るようにすべきではないか。このことをどうしていくかの研究はやられていないのか。

横浜市/環境保全活動団体会員

 残念ながら、一部しか参加できませんでしたが、このようなテーマでのシンポジウムは大切だし、意義があると思います。今後も、先取りする形で東京湾の環境問題にかかわっていってください。期待しています。

東京都/会社員

 海の汚染防止のため、汚水の排出を減らす必要性については行政もPRに務めている。しかし埋立については、まだまだ押し進める計画である。
 埋立による環境の悪化について一般市民にも理解させる活動と埋立を差し止める努力を望む。

横須賀市/会社員


用語解説
  1. 環境基準
     大気汚染、水質汚濁、騒音について「人の健康を保護し、生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」で環境基本法に基づき行政上の具体的目標を定めたもの。なお、水質汚濁に係る環境基準では「人の健康の保護に関する基準」として水銀、カドミウム等23項目が、「生活環境の保全に関する基準」でpH、BOD、COD等9項目について定められている。
  2. 排水基準
     水質汚濁防止法で定める特定施設を設置する工場又は事業場から公共用水域(河川、湖沼、港湾、沿岸海域など)に排出される水に対する基準。
  3. ISO14001
     ISO(国際標準化機構)とは工業製品の規格の統一や標準化のための機関のこと。その環境管理システムはISO14001として発行され、日本でも企業や自治体などが認証を取得している。
  4. 東京湾内湾・外湾
     東京湾とは、神奈川県の剱崎と千葉県の洲崎を結んだ線の内側をいい、その中でも神奈川県の観音崎と千葉県の富津岬を結んだ線の内側を内湾、外側を外湾と呼んでいる。
  5. 合流式下水道
     汚水、雨水を分離することなく同一の管渠で排除する方法で、古くから下水道事業を行っている都市で採用されている。最近は分流式下水道が主流となってきている。
  6. 分流式下水道
     汚水と雨水とを別々の管渠で排除する下水道。分流式下水道では汚水のみが下水処理施設に入ることになる。
  7. 青潮
     湾奥から湾口方向の風が吹いたとき表層の海水が沖に流され、それを補うために低層の溶存酸素が欠乏した水塊が湾奥部の沿岸に上昇し、魚介類をへい死させて漁業等に被害を及ぼす。貧酸素水塊中の硫化物が表層で酸化されて乳青色を呈することからこの呼び名がある。
  8. 赤潮
     海域で特定のプランクトンが大発生し、海水が赤褐色を呈する現象。発生原因のメカニズムは完全には究明されないが、海洋沿岸や河川の注ぐ湾内で、雨後に海が穏やかで日照りが続いたときに発生しやすいといわれいてる。海水中の窒素、リン等の栄養塩類濃度、自然条件の諸条件が交互に関連して発生すると考えられている。
  9. 生物指標
    水質が自然のレベル以上の物質濃度等により、正常な水環境機能が損なわれることを水質汚濁といい、この状態を表す指標については通常、COD、BOD等による科学的指標を用いているが、水域に生息する生物を調査することにより汚濁の程度を判断すること。
  10. 市街化調整区域
     都市計画法により定められる、ほぼ10年間は市街地としての開発や建設が抑制される区域。
  11. BOD [Biological Oxigen Demand](生物学的酸素要求量)
     水中の有機物汚染度を示す指標のひとつ。増殖する好気性微生物の呼吸量によって消費される水中の酸素量のこと。ppmで表す。
  12. COD [Chemical Oxygen Demand](化学的酸素要求量)
     有機物による汚濁の程度を示すもので、水中の有機物を酸化するのに必要な酸素量。数値が高いほど有機物の量が多く、汚れが大きいことを示している。東京湾など海域に放流する場合には、CODにより規制される。ppmで表す。
  13. スケールメリット
     規模の拡大がもたらす利益。大量生産によるコスト減などにより利益率が高まること。
  14. スカム [scum]
     水面に浮かぶくず。浮きカス。
  15. SS [suspended solid]
     浮遊物質量。水に混じっている浮遊固形物。
  16. 環境アセスメント
     環境影響評価。大規模な開発を行う場合、自然環境に与える影響を事前に調査し評価すること。


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